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子どものタイでの生活への適応を助けるために バンコク病院

2017年7月21日(金) 19時43分(タイ時間)
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Dr. Kamol Saengthongsrikamol
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Child Development Neuropsychiatric Center (CDNC)
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Child Development Neuropsychiatric Center (CDNC)
Dr. Kamol Saengthongsrikamol Director of Child Development Neuropsychiatric Center (CDNC)
BANGKOK HOSPITAL

文:倉田 舞

子どもの新しい環境への適応

 大人と同様、子どもにとっても、新しい環境へ適応することは、容易ではありません。子どもというと幅広い年齢層を想像させますが、ここでは幼稚園児から高校生までの子ども全体について話をしていきます。

 慣れた環境を離れるとき、子どもは悪い側面について考える傾向があります。友達との別れや、学校や地域社会などそれまで所属していた場所の喪失を考えて、不安になるでしょう。さらに、新しい環境では、それまでとは違う社会規範を学ばなくてはいけないこともあり、混乱した気持ちになるかもしれません。国をまたぐ転居では、家や学校など生活環境全体が変わるのはもちろん、言語や食べ物、天候、人種など、文化の違いを経験していきますので、国内での転居以上にストレスのかかる過程となります。

 大切なのは子どものストレスを周りが知って受け入れることですが、そのストレス要因を知ることは容易ではありません。なかには、大人からみて思いもかけないことに悩んでいることもあります。これまでに私が経験したケースでは、暑くて自由に外で遊べないこと、四季がないこと、日本で楽しみにしていたお祭りがないこと、などがありました。

 また、子どもは必ずしもストレスをはっきりと自覚しているわけではありません。なんとなく落ち込んだり、元気がなかったり、情緒不安定になる、といった症状に現れます。あるいは、登校や外出を嫌がったり、ものや人に当たるなど以前と比べて乱暴になる、タイ文化に触れない・タイ料理を口にしない、などの行動面に現れる場合もあります。さらには健康面に影響がでて、不眠や、食事が進まなくなる、ということもあるかもしれません。

カルチャーショックの3段階

 子どもが、そして親自身がカルチャーショックを乗り越える上で、文化への適応過程を理解することが役立ちます。文化とは、異国の文化という意味もありますが、学校や仕事が変わるなど、それまで所属していた社会から新しい社会への適応過程もまた、文化適応の過程と考えることができます。

 文化適応の過程には、大きく3つの段階があります。第一段階はハネムーン期と呼ばれます。この時期は探究心が旺盛で、目新しい体験にわくわくしたり、受け入れやすい気持ちになります。その後、拒絶期がやってきます。学校や仕事、人間関係を含む日常生活において、慣れ親しんだ以前の生活に戻りたくなってきます。いわゆるホームシックです。この時期は、物事が思うようにうまくいかず、イライラしたり不安になりやすく、憂うつな気持ちを体験する人も多いでしょう。

 その時期を乗り越えると、3段階目の回復期に入ります。新しい環境に対する気持ちは好転し、リラックスできる時間が増えてきます。日常をだんだん楽しめるようになるにつれて、その環境で生活していく自信を取り戻すことができます。

子どもへのサポート

 では実際に子どもの適応をどのようにサポートするかということですが、会話を重ねることが基本になります。転居が決まったらなるべくすぐに、子どもに転居の理由を理解できるように話をしてください。また、転居先の写真を見せたりしながら、新しい環境に前向きなイメージを持てるようにすると良いでしょう。仮に親の方が転居に対して不安な気持ちをもっている場合は、その気持ちは子どもに伝わりますので、不安な面は話さないようにしてください。

 転居によってそれまで身近にいた家族や友達と会えなくなることは、子どもにとっては衝撃的な変化のひとつです。子どもが身近にいた人達と連絡を取り合いたかったら、できるだけ手助けしてあげてください。最近はメールやインターネット電話などのコミュニケーションツールがありますので、積極的に活用して欲しいと思います。

 転居先の新しい家には、家族の写真や思い入れのある調度品などを装飾し、なるべくもとの家の雰囲気を作るようにしてください。タイでの生活を前向きに捕らえられるように、家族で一緒に楽しんでタイを体験できるような活動を計画したり、子どもが興味のある活動に参加することを奨励したりするのもよいでしょう。

 学校に関しては、転入後しばらくは不安になりやすい時期です。入学後、特に最初の数日は学校生活について話を聞くようにして、心配なことがあれば、できる限りのサポートを提供してください。

 新しい環境への適応は、その後の幸福感や心身の健康の要となります。母国を離れて暮らすということは、一見すると困難が多いように思えます。しかし、適応の過程を乗り越えることは、その後の人生にとってかけがえのない経験となります。人生では、転居以外でも、適応が必要となる節目があります。例えば大学生になり、環境や社会が全く変わる場所で生活することになるかもしれません。一度適応を経験したということは子どもにとって自信となり、2回目以降の適応の過程を乗り越えやすくします。また、多様性のある社会に適応して生活できる力ともなります。

親へのサポート

 親も適応の過程を乗り越えていかなくてはいけない中、子どもの適応を助けていくのは、簡単なことではないでしょう。適応の過程では、視野を広く持ちつつも、タイに対して疑問を持ったり、先入観を持つことは自然なことだと受け入れてください。そして、似た環境の人や、興味のある分野の人と接触する機会を多く持ってください。一番大切なことは、孤立しないことです。

 家庭内での問題に関する対処は、難しい問題です。元気がなくなったなどの子どもの変化や、あるいは周りの子との違いに気づいたとき、相談できる場所は多くないと思います。タイに親族や旧友がおらず、個人的な悩みを話せる人が少ないということもあると思います。

 相談できる友人がいても、相手方の本帰国や転勤の可能性があるなか、友人関係が安定しやすい状況とはいえません。そんな在タイ特有の状況もある中、家庭内で悩みを抱えてしまうと、ストレスは累積されます。そしてストレスは長期間続くほど、解消していくのが難しくなり、時間もかかってしまいます。子どもや親自身のストレスに気がついたら、早めに専門機関に相談することをお勧めします。

カウンセリング・心理療法

 私たちのセンターには大きく2つの専門的機能があります。子どもの発達に関する専門と、子どもの心理・精神面でのサポートを行なう専門です。タイで生活する子どものストレス要因は、文化適応に関することのほかにも、学校・学業、家族・友人関係、将来のことなど、さまざまです。

 一般に、子どもは大人と比べて精神的に未成熟ですので、ストレスに直面したときにうまく対処できずに、心身の健康を害してしまうことがあります。従って子どもへのサポートは大人と同様ではなく、発達心理を理解した専門家が行なう必要があります。

 当センターでは、専門家がカウンセリングや心理療法を行なっています。10歳ぐらいまでの子どもの場合は、論理的思考が発達段階にありますので、対話による心理療法よりも、行動療法やプレイセラピーが中心になります。行動療法は、個人だけでなくグループでも可能です。

 心理・精神面の相談をする上で特に心配なのは言語面かと思いますが、当センターには心理学専攻の日本人通訳がおり、リクエストいただけます。子どもが来院できない場合には、親のみ来院することも可能ですので、まずはご相談ください。もちろん、プライバシーは病院の規定により厳守されます。

※心理・神経精神科、小児発達関連のご予約・お問い合わせは、下記担当者直通の連絡先までどうぞ。子ども・成人のどちらも対応しております。

バンコク病院 小児発達・精神神経科 および メンタルヘルスセンター
専門通訳・コーディネーター 倉田 舞
電話:089-895-0751
Email: mai.ku@bangkokhospital.com

BANGKOK HOSPITAL
住所:2 Soi Soonvijai 7, New Petchburi Rd., Bangkok, 10310

ジャパン・メディカルサービス
電話:0-2310-3257 ファクス:0-2755-1261
Eメール:jpn@bangkokhospital.com
ウェブサイト:www.bangkokhospital.com
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