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【川崎大輔の流通大陸】ベトナム初の日系中古車ディーラーの壮途

2017年7月25日(火) 01時43分(タイ時間)
展示車の画像
展示車
《撮影 川崎大輔》
GM伊東氏(左)、MG池田氏(右)の画像
GM伊東氏(左)、MG池田氏(右)
《撮影 川崎大輔》
受付の画像
受付
《撮影 川崎大輔》
キッズスペースの画像
キッズスペース
《撮影 川崎大輔》
修理工場の画像
修理工場
《撮影 川崎大輔》
敷地の画像
敷地
《撮影 川崎大輔》
オートアベニューの画像
オートアベニュー
《撮影 川崎大輔》
ベトナムのホーチミンで2017年7月8日にグランドオープンした日系中古車ディーラー”Auto Avenue Tokyo”。代表の伊藤氏にベトナムビジネスの課題と展望を聞いた。


◆急成長するベトナムの新車・中古車マーケット

ベトナムでは自動車が飛ぶように売れている。私自身、2014年からハノイとホーチミンをほぼ毎年訪問しているが、朝晩の交通渋滞が年々激しくなってきている。ここ数年で一気に自動車の量が1.5倍~2倍ほど増えたのではないだろうか。

ベトナム自動車工業会(VAMA)による2016年の新車販売台数は30万4,427台となった。ベトナムでの国産(ベトナム自動車工業会未加盟メーカーを含む)と輸入車の合計台数で、前年比24%増となっている。驚くような数字だ。

更に、ベトナムの中古車市場も拡大してきている。新車販売台数の急増、また1~5年の使用で売却する需要によって、市場に多くの中古車が流通してきた。流通量が増えたことで以前よりも中古車の販売価格が割安になっている。それに加え国民の所得水準が向上してきたことによりベトナム中古車市場が活況を呈している。

最近ウーバー(Uber)やグラブタクシー(Grab Taxi)のようなスマートフォンアプリを使用した配車・予約サービスが活性化していることも中古車市場の拡大に影響を与えているようだ。例えば自動車を保有したらウーバーに登録するだけで、空き時間にドライバーとしての収益を獲得できる。それにより中古乗用車需要が増加しているという。ベトナム自動車産業に詳しい関係者へのヒアリングによれば、中古車取引は1台あたり平均2万ドル、年10万台程度の取引である。

一方ベトナムではVAT(消費税)を脱税するために、会社を通さず裏で個人取引することが一般的に行われる。そのため市場規模のデータが実態より少なめになることがある。それらを考慮した場合のベトナム中古車市場規模は推定で30億USD(約3,400億円)といわれている。


◆外資初の中古車販売ライセンス

Auto Avenue Tokyoは、規制の厳しいベトナムにおいて外資企業で初めて中古車販売ライセンスを取得した日系企業だ。日本で中古車販売や、メンテナンス業を展開する株式会社オートアベニュー(東京本社)のベトナム現地法人となる。

2010年に初めて同社会長がベトナムを訪問した際、モータリゼーションが到来間近のベトナムを見たことが同社進出のきっかけとなった。「ベトナムには若い国が持つエネルギーと活気がありますよ」と伊藤氏はいう。

2017年に入ってプレオープンという形でお客様の対応やテストマーケティングを兼ねた自動車整備ビジネスを先行させていた。すべての準備が整い、2017年7月に15名のスタッフ(内日本人4名)で本格的にビジネスをスタートさせた。日本で培った中古車の査定・メンテナンスのノウハウを活用し、ベトナムでの中古車販売事業を行う。

「経験と信頼の日本ブランドを浸透させていく」(伊藤氏)。更に「ベトナムには中古車ディーラーで整備工場を持っているところがない、また中古車の購買に際し確たる査定基準を設定している会社もない。ビフォー(査定)からアフター(メンテナンスパック)まで長期的に中古車のサービスを提供することで、透明な中古車市場を構築していきたい」と語った。


◆ベトナム中古車ビジネスにおける課題

ベトナムでの中古車ビジネスの大きな課題は、日本の常識とは異なるマーケットを把握していくことだ。「消費者動向の的確な把握が難しい。ベトナム人の好みに答えていきづらいですが、日本の商品を提案しながらあたりをつけていく方法が実践的です」と伊藤氏はいう。

更に、中古に対する一般消費者の信用がまだ薄いというのも大きな課題だ。「中古車ディーラーは、走行距離、グレードなどもごまかします。事故車も多いです。ベトナムで買う中古のものほど信頼できないものはありませんからね。」(ベトナムの男性会社員)。

ベトナム中古車流通のメインプレーヤーは中古車販売店とブローカーである。中古車販売店に展示されている中古車にはプライスボードは掲げられていない。走行距離や修復歴も提示されていない。買い手によって値段が異なり、スタッフとの交渉が必要になる。現状渡しが普通で、保証は販売店などによって独自に設定されている。まさに日本の30年ほど前の状況がそのままベトナムで再現されている。情報量が少ない購入者が弱い立場となっている現状がある。

伊藤氏は「1番大事なのが中古車のヒストリー(自動車履歴)を明らかにすること、それをやらないと中古業界の信頼を回復することができない」と指摘する。


◆ベトナムビジネスの戦略は縦横展開

Auto Avenue Tokyoとしては、まず1店舗目の拠点をしっかりと立ち上げることが重要だ。その後は、横展開となるベトナム国内へのディーラー展開だ。更に縦展開も同時並行して行う考えだ。縦展開としては、Auto Avenueの認定中古車ブランドを作りメンテナンスパッケージを附帯していく。それにより信頼ブランドを構築。

更に、流通面では、ウェブ販売で消費者にあわせたマーケティングやオークションなどの可能性も検討。商品としては中古車のみならず新車販売の可能性も検討をしていきたいと考えている。

ベトナムは約9,000万人もの巨大な人口、更に国民の所得水準の向上による中間・富裕層の拡大によって消費市場の成長が大きく見込める。自動車を購入する中間層はますます増えるだろう。一方で、中古に対する信頼が薄いというのも事実だ。グレーなマーケットを日系企業がどのように透明なマーケットに近づけていくか興味がある。長い時間が必要かもしれないが、ベトナムの自動車市場が健全に成長していくためには重要なことであろう。


<川崎大輔 プロフィール>
大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより「日本とアジアの架け橋代行人」として、Asean Plus Consulting LLCにてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。
《川崎 大輔@レスポンス》


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