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知られざる“爆売れ”、その理由は?/インバウンド・観光ビジネス総合展

2017年10月15日(日) 12時35分(タイ時間)
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株式会社トレンドExpress 代表取締役社長 濱野智成氏
日本の将来を左右するインバウンドについてフィーチャーした展覧会「インバウンド・観光ビジネス総合展」。今後のインバウンドビジネスや地域創生プロジェクトに向けての課題や問題解決の手がかりが数多くプレゼンテーションされたの画像
日本の将来を左右するインバウンドについてフィーチャーした展覧会「インバウンド・観光ビジネス総合展」。今後のインバウンドビジネスや地域創生プロジェクトに向けての課題や問題解決の手がかりが数多くプレゼンテーションされた
【記事のポイント】
▼中小企業でもプロモーション次第で“爆売れ”商品になる
▼中国人には広告よりも口コミ、その最大化をはかる
▼勝負は旅の前、事前に知らない商品は買われない


 観光ビジネスを支援する企業や団体が多数出展する世界最大級の旅行イベント「ツーリズムEXPOジャパン2017」が、2017年9月21日から23日の期間、東京ビッグサイトで開催された。

 今回、特筆されるのは、日本の将来を左右するインバウンドについてフィーチャーした展覧会「インバウンド・観光ビジネス総合展」が、「ツーリズムEXPOジャパン2017」内のフェアinフェアとして初開催(主催:ツーリズムEXPOジャパン、日本経済新聞社)されたことだ。
 HANJO HANJOでは、「インバウンド・観光ビジネス総合展」で何が語られたのかに注目し、複数のセミナーから重要なテーマやワードを抽出。今後のインバウンドビジネスや地域創生プロジェクトに向けての課題や問題解決の手がかりとなるような特集を構成する。

 第四回は9月21日に行われたセミナー『「インバウンドベンチャー最前線!」第3部『爆売れ』を実現したブランディング事例を大公開!』~講師:株式会社トレンドExpress 代表取締役社長 濱野智成氏~より、中国人に対する“爆売れ”の事例をベースにした外需獲得のためのブランディングについてポイントを抽出する。

■知られざる“爆売れ”、その理由は?

 トレンドExpressはソーシャルのビッグデータを活用した分析、プロモーションを通じてグローバルビジネスの成功を導くことをミッションとした会社だ。市場は主に中国にフォーカスしており、微信(ウェイシン)、新浪微博(シナウェイボー)、大衆点評、淘宝(タオバオ)といったデータソースを中心に口コミの収集分析を行い、そこからインサイトを発掘してプロモーション活動を行っている。

 今回のセミナーで濱野氏は大手企業の売れる商品ではなく、あまり知られていない企業がインバウンドで収益を上げている事例を紹介した。

 まず一つ目の事例として「女の欲望」という商品名のアームカバーを紹介。「女の欲望」はストッキングなどを販売しているアパレル一般消費財のメーカーの商品。このメーカーのプロモーション施策をトレンドExpress社が請け負ったところ、30万個あった在庫が1ヶ月で売り切れたという。売上単位としては越境ECで半分、ECで買えないからと訪日した中国人が半分であり、中国ではあまりの人気ぶりから「売り切れ大王」というあだ名で呼ばれている。

 二つ目の事例として「イボコロリ」のメーカーである横山製薬を紹介。こちらもトレンドExpress社の支援で1日に数千個を売り上げたという。中国にはソーシャルバイヤー、いわゆる代理購入者が多数おり、日本で買って中国で転売するケースが増えている。転売のプラットフォームとしてECモールが利用されており、転売によって勝手に売上が伸びているという状況になっている。

■口コミの最大化こそがインバウンドマーケティングのカギ

 濱野氏によるとこのような事例は枚挙に暇がないという。ではこの“爆売れ”実現するためにはどのような方法をとればよいのだろうか。

 そのポイントは「口コミを最大化する」ことにあると濱野氏は話す。中国は口コミ文化であり、口コミを広げることが重要だというのはすでに多くの人が知るところだ。一般的にはKOL(Key Opinion Leader)、いわゆるインフルエンサーを使い広告をしてもらう。あるいは自社でSNSやソーシャルメディアを活用してプラットフォームに広告を流すといった手法が考えられる。しかし濱野氏によると、このやり方は悪いとまでは言わないがベストではないという。

 口コミの拡散を分析すると、KOLやSNSによる広告運用ももちろん大事なのだが、それよりもWebメディアを中心に情報を広げていくと、そこから一気に情報が拡散していくことがわかるのだそうだ。中国のWebニュースには一次情報として広告ではなく“信頼性のある情報”が取り上げられる。そしてメディアが取り上げた記事が拡散されるとSNSに火がつき、メガホンのように口コミが拡散するという仕組みだ。



 しかしただ単にWebに記事を配信すれば売上につながるわけではない。ターゲットのインサイトをしっかり抽出し、どのようなコミュニケーションでアプローチするのかというプランニングコンセプトを立てる必要がある。さらにターゲットにどのようなキーワードがバズや口コミにつながるのかを抽出しなくてはならない。それらを元に記事や動画などのコンテンツを制作することが重要となる。ここまでやってはじめてKOLやSNSを使えば効果的に口コミの拡散につながるというわけだ。

■勝負は旅の前、知ってもらえさえすれば買ってもらえる

 このように自社ブランドや競合ブランド、市場環境のデータを収集・分析しつつ、バズや口コミを誘導できるメディアを選定し口コミを最大化することで、インバウンドやアウトバウンドにつながることがわかる。

 まずそのためには相手に自社ブランドを知ってもらわなければならない。特に中国は偽物が流通している文化があるため、知らない商品イコール偽物だととらえられてしまう可能性が高い。逆にいえば知ってもらえさえすれば買ってもらえるということになる。これこそが“爆買い”“爆売れ”の原動力になるのだ。そのためにも旅前に自社を知ってもらうことが重要だといえる。

 最後に濱野氏は「日本は大きなショールームだととらえています。インバウンド売上の欠点はライフタイムが非常に短いことです。5日間や6日間の滞在期間をどれだけ延ばせるかが重要です。例えば10月に国慶節がありますが、国慶節に来てもらったら次は春節に来てもらう。同じ人でなくても口コミを得た人に来てもらう。あるいは越境ECを使って商品をアウトバウンドで売っていく。このサイクルを回すことができれば外需を取り込んでいけると思います」と話し、「日本は少子高齢化によって人口が減少していき、経済が危ないともいわれています。このインバウンド産業をしっかりと作っていくことが我々の使命だと思います」と力強い言葉を残した。
《川口裕樹/HANJO HANJO編集部》


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