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【川崎大輔の流通大陸】右ハンドル輸入規制、どう変わるかミャンマー新車市場

2018年3月19日(月) 09時46分(タイ時間)
ヤンゴンのメインロードの画像
ヤンゴンのメインロード
《撮影 川崎大輔》
三菱ショールーム(2)の画像
三菱ショールーム(2)
《撮影 川崎大輔》
ヤンゴンの三菱ディーラーの画像
ヤンゴンの三菱ディーラー
《撮影 川崎大輔》
三菱サービスセンターの画像
三菱サービスセンター
《撮影 川崎大輔》
三菱ショールームの画像
三菱ショールーム
《撮影 川崎大輔》
朝の渋滞(ヤンゴン)の画像
朝の渋滞(ヤンゴン)
《撮影 川崎大輔》
2018年にはついにミャンマー政府は中古車政策によって、右ハンドル車の輸入が乗用車、商用車、共に禁止とした。実質、日本からの中古車輸出が不可能になった。これから新車市場がどのようになっていくのか? 三菱ミャンマー代表の西川氏に話を聞いた。


◆ミャンマー自動車市場の変遷

ミャンマーでは2011年の民政移管の際に、政府は「経済開放と完成車輸入の解禁」の方向性を打ち出した。2011年9月、政府はスクラップポリシーを発表。20年以上たつ中古車をスクラップにすると1996年以降登録の中古車の個人輸入できる、という条件付きで中古車輸入を解禁。輸入登録税を引き下げ小型車の輸入も促進した。2012年には2007年以降登録の車であれば中古車の個人輸入を可能とした。右ハンドル輸入も認められ、日本の中古車の輸入が急増する結果となった。

貿易統計データによれば、2011年の日本からミャンマーへの中古車通関台数は1万9621台で2012年には12万0805台と急増。日本でのオークション価格が高騰したなどの問題点の指摘がされた。

しかしミャンマー自動車市場が拡大してきたということは事実。2014年データでは商用車を含めた台数は16万0437台である。財務省の輸出台数に関する貿易統計は20万円以下の輸出車はカウントされていないため実際の台数とは異なる。そのため18万台(乗用車12万台、商用車6万台)が実数であるといわれている。

道路インフラがない中、急に車の台数が増えたため交通渋滞が激しくなった。特にヤンゴンの朝夕のラッシュ時はひどい。自動車保有台数の7割がヤンゴンに集まっている。そのため、政府は自動車の増加による渋滞緩和と環境保護を検討。2016年から政府は自動車の輸入を制限。2018年にはついにミャンマー政府は中古車政策によって、右ハンドル車の輸入が乗用車、商用車、共に禁止とした。実質、日本からの中古車輸出が不可能になった。


◆変革期のミャンマー自動車市場

ミャンマーでは正式な自動車統計データは存在しない。しかしミャンマー正規自動車販売業者協会(AADA)によれば、2016年の新車販売台数は4168台、2017年は8223台となっている。KIA、HYUNDAI、プジョー、中国系メーカーはAADAに登録していないため、完全なデータではないが、8割以上はカバーできている。

ミャンマーにおける新車シェアは、1位がスズキで2016年1139台、2017年3397台と3倍近くになっている。SKD(セミノックダウン)で現地組み立てをやっているところが伸びている。現在、SKDはスズキ、フォード、日産、KIAで行われている。CBU(完成車輸入)だと、ヤンゴン管区では登録ができなくなっている。しかし、ミャンマー政府は現地生産車を優遇するという政策をとっており、SKDは登録ができる。

右ハンドルの自動車輸入規制が開始されてから新車市場に追い風が吹き、情勢が変わってきている。西川氏は「中古車業者を見ているとわかりやすい」と指摘する。現在、ミャンマーに進出してきているメーカーの新車が売れ始めた。そのため新車ディーラー網をどんどんと地方にも構築していっている。新車ディーラーになるのが、元中古車ディーラーであるという。CBUしか行ってないメーカーの新車ディーラーではヤンゴンで登録できず販売が難しい。そのため地方での販売網を構築していく必要がある。地方にある中古車ディーラーが新車ディーラーへ鞍替えを始めている。


◆三菱自動車の状況

三菱は、現在6車種をミャンマー国内の4ディーラーで販売している。2017年に入り、ヤンゴンで登録ができないため、地方で新車ディーラーを出店。販売網を構築すると同時に、サービスにも力を入れていった。新車ディーラーでサービスができる体制づくりを行うのはもちろん、三菱の認定サービスショップを販売店の新車ディーラーとは別に構築。現在、4店舗の新車ディーラーとは別に、整備体制を強化するため認定サービスショップを2店舗つくった。

「ミャンマー国内で三菱の自動車は壊れづらいという認識があります。また4駆のラインナップをしっかり持っています。地方での強みがあります」(西川氏)。更に「サービスショップのネットワーク構築を行い、地方に行ってもサービスが受けられる体制づくりを目指していく必要があります」と指摘する。


◆ミャンマーで自動車ビジネスを行う魅力

毎年、輸入車を巡る規制が変わる。そのため新車及び中古車の販売ディーラーは販売台数の予測ができず、頭を悩ませている。混乱は税制だけではなく、2016年から車庫証明所の提出が義務付けられて、それを取得しないと輸入車の購入ができない。「ルールがコロコロ変わるため、業界の本格的な発達が生じていません。真っ当な市場競争になっていないことはミャンマーの課題です」(西川氏)。一方で「市場は大きく魅力はあります。ミャンマーの自動車ビジネスはダイナニズムのある産業だと思います」と語る。

ミャンマーの経済は成長しており、人々の所得も上がってきている。ヤンゴンでいえば、1人あたりGDPは2,000ドルを超えているといわれている。5000万人以上の人口に潜在能力があるのは間違いない。

まさにミャンマーはいま変化の真っただ中にいる。自動車を取り巻く制作環境が不透明であるため、難しい対応も迫られるだろう。しかし、正しい自由競争の市場へと変化するために中長期的にはルールはあるべき姿に変わっていくことになる。

中長期的な展望を見据え、メーカーは地方に販売とサービスの拠点を広げていくことが重要だろう。西川氏は「社員の教育をしっかりと行う。そうすることでミャンマー国への貢献の一つになるでしょう」と指摘する。今度は更に人材育成も重要も増していく。


<川崎大輔 プロフィール>
大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより「日本とアジアの架け橋代行人」として、Asean Plus Consulting LLCにてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。
《川崎 大輔@レスポンス》

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