小型EVを開発するFOMMは、ジュネーブモーターショーに初出展。タイでの発売を目前に控えた『1.0』を予告するモデルと、2台のコンセプトモデルをワールドプレミアした。
ブースに展示されていたのは3台。発売予定の1.0のインテリアをドレスアップした予告モデルのほか、マイクロスポーツカーの『AWDスポーツコンセプト』、そして電動モーターサイクルの『AWDスクーターコンセプト』という2台の純コンセプトモデルだ。この2台は1.0と同じモーターやリチウムイオン電池を用いて仕立てたもので、名前の通り全輪駆動。いずれも走行が可能だ。
FOMMは現在のところタイをはじめアジア地域を中心とした販売戦略を掲げているが、なぜジュネーブに出展したのか。FOMMの鶴巻日出夫 代表取締役CEOは「ヨーロッパでの具体的な展開が決まっているわけではありません。反響をうかがい、情報収集するために出展を決めました」と説明する。実際に走行できるコンセプトモデルを展示したのは、より具体的な反応が得られることを期待してのことのようだ。
スポーツコンセプトは4輪にインホイールモーターを内蔵した2座席オープンモデル。寸法は全長3300x全幅1490x全高1225mmで、最大出力20kW、最大トルク1120Nm。運転操作は1.0と同じくステアリング奥のアクセルパドルとフットブレーキの組み合わせでおこなう。モノコックシャシーは全面的にCFRPが採用されているが、これはあくまでプロトタイプとして、採算性は意識しないでスポーティさを強調したものだとか。
いっぽうスクーターの車体はかなり大柄で、正直に言えば実用性はさほど高そうには感じられない。寸法は全長2280x全幅780x全高1235mm。最大出力7.5kW、最大トルクは420Nmだ。聞けば「1.0のインホイールモーターとバッテリーをそのまま使って仕立てた」とのこと。スポーツコンセプトと同様に具体的な商品を予告するものではなく、1.0のコンポーネンツの展開可能性を示すショーケースと捉えればいいのだろう。
ちなみに発売される1.0は、EU圏のL7eという車両規格に合致するよう作られている。L7eはヨーロッパで発売される多くの電動マイクロカーが属するクラスで、出力は15kW以下、車体重量は乗用モデルで450kg以下、バッテリー重量はこれらの重量に含まれない。1.0の寸法は全長2585x全幅1295x全高1560mm、ホイールベースは1760mm。最大航続距離は160kmとなっている。
既存のL7eモデルのほとんどは乗車定員が2名だが、1.0では後席下にバッテリーを置き、その両脇にインホイールモーターを配置するレイアウトを採用。これで4人乗りを実現するキャビン空間を確保している。車体重量は445kgで、バッテリーとオプション装備を含むと630kgとなる。展示車両はシートやステアリングにレザーを用いていたが、これはショー向けのドレスアップとのこと。
なおFOMMでは1.0をはじめとした完成車を製造販売するだけでなく、「Micro Fab」と呼ばれる組立工場を世界各地に展開するというアイデアも提案している。これは基本設計を共通化させたパワートレインやシャシーを各地域に供給し、それぞれの市場の嗜好や需要を反映させたアレンジを加えた「ローカルな個性を持つマイクロカー」を作り出そうというもの。
たしかに、1.0の「水上航行も可能」というスペックは不要と考える地域は多そうだし、逆にイタリアのヴェネツィアのような都市ならば、さらに高度な水陸両用性能を求める声が挙がるかもしれない。
これはマイクロカー事業に乗り出そうとするスタートアップ企業にとって、企業規模を無理に拡大せずに製造コストを低減するための有力な選択肢となる可能性もある。事実、イソ『イセッタ』の復刻版とも言えるスタイリングが特徴の『マイクロリーノ』を2016年に公開したマイクロモビリティ(スイス)は、イタリアのマイクロカーメーカー、タッツァーリと協業することで商品化にこぎつけた。そしてこれもまたL7e規格の車両だ。
FOMMは明言していないが、ジュネーブショーに出展した理由は、こうした事業の可能性を探るための第一歩というものだったのではないだろうか。なお1.0は3月末に開幕するバンコクモーターショーで価格を発表し、予約受付を開始するとのことだ。
FOMMが初出展、2台のコンセプトモデルをワールドプレミア…ジュネーブモーターショー2018
2018年3月23日(金) 10時00分(タイ時間)
《古庄 速人@レスポンス》
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