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タイ軍政派新党始動、党首に工業相 現職4閣僚が参加

2018年10月2日(火) 01時24分(タイ時間)
ウタマ工業相の画像
ウタマ工業相
写真提供、パランプラチャーラット党
【タイ】タイ軍事政権派の新党、パランプラチャーラット党は9月29日、初の党大会を開き、軍政の経済政策の司令塔であるソムキッド副首相の側近であるウタマ工業相(元バンコク大学学長)を党首に選出した。

 副党首には同じくソムキッド副首相の側近のスウィット科学技術相と2013、2014年の反タクシン派政権デモのリーダーであるナタポン元民主党下院議員、幹事長にはソンティラット商務相、報道官にはコープサク首相府相が就任した。

 党役員には東部に強い影響力を持つクンプルーム家のイティポン元パタヤ市長、大手自動車部品メーカー、タイ・サミット・グループのオーナー、ジュンルンルアンキット家のポンカウィン氏らのほか、反タクシン派政権デモのリーダー2人も名を連ねた。東部サケーオ県に強い影響力を持つティエントーン家の2人もタクシン派政党プアタイ党を離党し、パランプラチャーラットに加わった。

 タクシン派政権を倒した2014年の軍事クーデターはナタポン元議員ら民主党幹部が主導した街頭デモをきっかけに起きた。このため、民主党の一部と軍の共謀説も流れていたが、パランプラチャーラット党の顔ぶれは、こうした憶測に信ぴょう性を与えることになりそうだ。

 ソムキッド副首相はジュンルンルアンキット家の一人でタクシン政権(2001―2006年)で副首相、工業相などを務めたスリヤ氏らとともに有力政治家の引き抜きを進めていると報じられていたが、パランプラチャーラット党の党役員に政界の重量級の名前はなかった。軍政色を薄めるためか、現時点では軍幹部の参加もなかった。

 軍政は2019年前半に実施するとみられる民政移管のための議会下院(定数500)総選挙後も政権を担う構えで、既存政党からの有力政治家の引き抜き、事実上の地方遊説である地方閣議の開催、地方への予算投下などで地盤固めを急いでいる。軍政が作成し昨年施行した新憲法の規定で、議会上院(定数250)の議員は軍政が事実上選任するため、軍政は下院で130―140議席を確保すれば政権を維持できる。パランプラチャーラット党は軍政のこうした構想の中核を担うとみられる。


〈タイ政局の主な動き〉
 タイでは2006年以降、東北部と北部の住民、バンコクの中低所得者層の支持を集めるタクシン派と、伝統的な富裕層、南部住民とバンコクの中間層を中心とする反タクシン派の抗争が続き、政治・社会が混乱している。反タクシン派が重視する伝統的な階級・民族秩序に東北部・北部の住民と低所得者層が挑戦する形で、タクシン派が選挙で勝ち続ける一方、反タクシン派は軍と司法、デモを駆使してタクシン派政権をひっくり返し、事態が収拾するめどは立っていない。

■2001年
警察官僚から実業家を経て政界入りしたタクシン氏率いる政党が、地方、低所得者層へのばらまき政策を掲げ、議会下院選で勝利。タクシン氏が首相に。
■2005年
任期満了にともなう下院選でタクシン派政党が議席の75%を得て圧勝。タクシン首相が2期目。
■2006年
反タクシン派がバンコクで大規模なデモ。タクシン首相が下院を解散、総選挙に踏み切るが、反タクシン派の民主党がボイコット。憲法裁判所が選挙無効の判決。9月に軍事クーデターが発生し、タクシン政権崩壊。
■2007年
軍事政権が民主主義を制限した新憲法を制定。民政移管のため実施された下院選で2代目タクシン派政党が勝利。タクシン派政権発足。
■2008年
反タクシン派デモ隊がバンコクの首相府、スワンナプーム空港などを占拠。最高裁判所が選挙違反でタクシン派政党を解党し、政権崩壊。民主党を中心とするアピシット連立政権発足。
■2010年
バンコク都心を占拠したタクシン派デモ隊を軍が鎮圧。90人以上が死亡、約2000人が負傷。
■2011年
下院選で3代目タクシン派政党が勝利。タクシン氏の妹のインラク氏が首相に就任。
■2013年
インラク政権・与党がタクシン派と反タクシン派の政治抗争で投獄、訴追された人に包括的な恩赦を与える恩赦法案の成立を図る。10月、民主党が大規模な反政府デモを開始。12月、インラク首相が下院を解散。
■2014年
1月から反タクシン派デモ隊がバンコクの主要交差点を占拠。2月の下院選は民主党がボイコットした上、民主党系のデモ隊が投票を妨害し、3月に憲法裁が選挙無効の判決。5月7日、幹部官僚人事をめぐる職権乱用を理由に、憲法裁がインラク首相ら10閣僚を解任。5月20日、軍が戒厳令を布告し、実権を掌握。同22日、クーデターを宣言し、インラク政権崩壊。
■2017年
軍政が民主主義を制限した新憲法を施行。インラク前首相が汚職裁判の判決前に国外に逃亡。
《newsclip》

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