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超高級腕時計取っ替え引っ替え タイ軍政副首相、証拠不十分で調査打ち切り

2018年12月27日(木) 21時34分(タイ時間)
プラウィット副首相の画像
プラウィット副首相
写真提供、タイ首相府
【タイ】タイ軍事政権のプラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官、73)が資産報告書に記載がない1個数十万―数百万バーツの超高級腕時計を取っ替え引っ替え着用していた問題で、タイ汚職取締委員会は27日、汚職を証明する十分な証拠がないとして、調査の打ち切りを決めた。

 副首相の腕時計好きは2017年末に発覚。日差しを遮ろうとした腕にきらめく超高級腕時計に気づいたネットユーザーが過去に遡って副首相の写真を調べ、少なくとも22本の存在を確認した。これらの腕時計は資産報告書に記載されておらず、副首相は「知人から借りたもので、すでに返却した」などとと釈明した。

 タイのネットユーザーはこの釈明に納得せず、メディアも連日報道。批判に押される形で、汚職取締委が調査に乗り出したが、同委のトップはプラウィット副首相の元部下で、公正な調査が行われるかどうか疑問視されていた。同委は調査結果の発表延期を繰り返し、今月26日にも、委員の体調不良という理由で発表を延期していた。

 汚職取締委の判断について、大手タイ字紙デーリーニュースが自社ウェブサイトで読者の意見を募ったところ、「同意できない」が95%に上った。投票者数は27日午後7時時点で1867人。

 デーリーニューや他のニュースサイトのコメント欄には「汚職取締委を解散すべき」といった批判が多数寄せられている。「赤い水牛ども(タクシン元首相支持者)には受け入れ難いだろう」などと軍政と対立するタクシン派をやゆするコメントもみられた。

■総選挙への影響は?

 軍政は2019年2月に実施する予定の議会下院(定数500)総選挙で軍政派政党パランプラチャーラット党が勝利し、プラユット首相(元陸軍司令官)が続投するというシナリオを描いている。議会下院とともに首相指名選挙で投票する議会上院(定数250)は軍政が議員を事実上選任するため、形勢は圧倒的有利とみられるが、一部の世論調査では、パランプラチャーラット党の想定外の不人気も伝えられている。

 軍政は下院選で2001年以来全勝中のタクシン派を封じるため、憲法改正で任命制の上院を導入したほか、下院の選挙制度も大政党に不利な方向に改正した。タクシン派政党などから有力政治家の引き抜き、地方への予算ばまらきなども行っている。ただ、地方に予算をばらまき、利権と癒着した灰色政治家多数を取り込み、自派政治家のスキャンダルは抑え込むという手法は、敵対するタクシン派と変わるところがない。軍政のコアな支持層である特権階級は、階級的・民族的な差別意識から、東北地方や中低所得者を中心とするタクシン派を嫌悪し、支持が揺らぐことはないが、軍政に政治の浄化、刷新を求めたバンコクの中間層などライトな支持層にとって、今回の汚職取締委の判断はマイナスに働くことが予想される。

〈プラウィット・ウォンスワン〉
1945年生まれ。陸軍士官学校17期卒。シリキット王妃の近衛師団である第2歩兵師団司令官(別名、ブラパーパヤック=東の虎)、陸軍第1管区司令官を経て、2004―2005年陸軍司令官。王党派、反タクシン元首相派のアピシット政権(2008―2011年)で国防相。元部下のプラユット陸軍司令官(当時)による2014年5月のクーデターを受け、副首相兼国防相に就任した。プラユット首相、アヌポン内相(元陸軍司令官)らブラパーパヤック閥の領袖で、プラユット政権の「影の首相」とみる向きもある。
《newsclip》

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