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タクシン派政党に解党処分、タイ王女の首相候補擁立で

2019年3月7日(木) 19時31分(タイ時間)
【タイ】タイ憲法裁判所は7日、タクシン元首相派の政党、タイラクサーチャート党を解党し、党役員の参政権を10年間停止した。

 同党が今月24日の議会下院(定数500)総選挙の党の首相候補としてワチラロンコン国王(66)の姉のウボンラット王女(67)を擁立しようとしたことが、立憲君主制に敵対する行為を禁じた政党法に違反したと認定した。

 タイラクサーチャート党はウボンラット王女が米国人と結婚(後に離婚)しタイ王族籍を離れているため擁立が可能と主張し、2月8日、首相候補としてタイ選挙委員会に届け出た。しかし、同日夜、ワチラロンコン国王が王女の政治関与を禁じる声明を出したため、擁立を取り下げた。これを受け、選挙委が憲法裁に同党の解党を申し立てていた。

 タクシン派は反タクシン派の旗印であるはずの王室のメンバーを自派の首相候補に担ぐという奇策で反タクシン派の「解体」を狙ったが、王室を政治に巻き込むという危険な賭けに破れた形だ。ただ、王女がタクシン派を支持したという事実は残り、今後の政局に影響を与えそうだ。

 また、タクシン派は大政党が不利になるよう変更された下院選挙制度に対応し、中核となるプアタイ党のほかに、タイラクサーチャート党など複数の衛星政党を立ち上げている。このため、タイラクサーチャート党の解党はタクシン派の選挙戦からの脱落を意味するものではない。ただ、タイラクサーチャート党から出馬した候補は解党で全員が立候補資格を失い、タクシン派が選挙戦で大打撃を受けたのは間違いない。

 タイではタクシン政権(2001―2006年)以来、東北部と北部の住民、バンコクの中低所得者層の支持を集めるタクシン派と、伝統的な富裕層、南部住民とバンコクの中間層を中心とする反タクシン派の抗争が続き、政治・社会が混乱している。反タクシン派が重視する王室を中心とした伝統的な階級・民族秩序に東北部・北部の住民と低所得者層が挑戦する形で、タクシン派が選挙で勝ち続ける一方、反タクシン派は軍と司法、デモを駆使してタクシン派政権をひっくり返し、事態が収拾するめどは立っていない。

 反タクシン派が中核を占める軍は2014年、反タクシン派の民主党が主導した大規模な反政府デモを理由に、タクシン派の民選政権をクーデターで倒し、軍事政権を発足させた。内外の圧力を受け、8年振りとなる下院選の実施を受け入れたが、議会上院(定数250)が軍政の支配下にあるなど、完全な民主化には程遠い状況だ。
《newsclip》

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