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プラユット軍政首相支持せず タイ民主党のアピシット党首が明言

2019年3月11日(月) 00時36分(タイ時間)
【タイ】2大政党のひとつでタクシン元首相派のライバルである民主党のアピシット・ウェーチャチーワ党首(元首相)は10日、自身のフェイスブックに動画を投稿し、軍事政権のプラユット首相(元タイ陸軍司令官、陸軍大将)を支持しないと明言した。

 アピシット党首はこれまで、今月24日の議会下院(定数500)総選挙後も続投を目指すプラユット首相を支持するかどうか明らかにしていなかった。今回の動画では、「プラユット大将を首相として支持しない」「権力に固執し、国内の分裂を招き、民主主義に反しているからだ」「(軍政下の)過去5年で経済が悪化した」と述べ、対決姿勢を鮮明にした。

 反タクシン派のプラユット軍政は自派の政党パランプラチャーラット党を立ち上げ、下院選に臨んでいる。軍政が作成し2017年に施行した新憲法の規定で、軍政が議員を事実上選任する議会上院(定数250)が議会下院とともに首相指名選挙で投票するため、軍政派は下院で130―140議席を確保すれば政権を維持できるが、パランプラチャーラット党など軍政派政党だけでは下院議席が不足するとみられ、支持層が重なる部分が多い民主党の支持がカギを握るとみられていた。こうした状況でアピシット党首が反軍政を明確にしたことで、軍政派の国会多数派工作はとん挫した形だ。

 ただ、アピシット党首は昨年11月に行われた党首選で、軍政支持派の候補に辛勝し、党内基盤が弱体化している。民主党が下院選で大敗すれば、党の主導権を軍政支持派に奪われる可能性もある。

 タイ国立開発行政研究院(NIDA)が18歳以上のタイ人有権者を対象に2月4―7日に実施した政党支持率調査(回答者2091人)で、支持率1位はタクシン派のプアタイ党で36.5%、2位はパランプラチャーラット党で22.6%、3位は民主党で15.2%、4位は強烈な軍政批判で注目を集める新党、新しい未来党で8.2%、5位は反軍政のセーリールワムタイ党(タイ・リベラル党)で5%だった。単純計算すると、反軍政のプアタイ、新しい未来、セーリールワムタイの3党でほぼ250議席、パランプラチャーラット110議席、民主75議席程度となる。

 反軍政の3党に民主党が加われば、他の中小政党も糾合し、反軍政政権が誕生する可能性がある。ただ、民主党とタクシン派は水と油の関係で、連立政権を組むとは考えにくい。さらに、プアタイと新しい未来は政党法、選挙法などに違反したとして憲法裁判所によって解党される可能性がある。一方、民主党で軍政支持派が主導権を握れば、パランプラチャーラットと民主、上院の投票でプラユット首相の続投となりそうだ。

 いずれのケースでも、政権基盤は脆弱で、民主派政党と軍の対立が続く見通しだ。また、国家内国家的な勢力である軍を文民統制(シビリアンコントロール)下に置くことはほぼ不可能な情勢で、将来的に再びクーデターが起き軍政に戻る可能性も否定できない。

〈アピシット・ウェーチャチーワ〉
 1964年、英ニューカッスル生まれ。英イートン校からオックスフォード大学に進み、哲学、政治学、経済学の学位を取得。タイ人で2人目の首席だったという。同大学で経済学修士号を取得後、タイのタマサート大学講師を経て政界入りし、1992年から下院連続当選。2005年から民主党党首。2008―2011年首相。
 タイのチュラロンコン大学数学講師だったピムペン夫人との間に1男1女。ニックネームは「マーク」。イートン校時代からロック好きで、好きなバンドはイーグルスからオアシスまで幅広い。両親はともに医者で、父親は副保健相を務めた。姉は医師、妹は2006年度東南アジア文学賞を受賞した作家。アピシットはタイ語で「特権」。
《newsclip》

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