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バンコク―チェンマイ新幹線構想消滅か タイ公共放送など報道

2019年9月27日(金) 12時04分(タイ時間)
【タイ】タイ政府は日本政府と検討してきたバンコクとタイ北部チェンマイ県チェンマイ市を結ぶ高速鉄道計画を断念したもようだ。タイの公共放送タイPBS、英字紙最大手バンコクポストなどがタイ政府筋情報として報じた。

 新幹線の技術を導入し、全長約670キロの高速鉄道を建設運営する計画を検討してきたが、日本側が実施した事業化調査で採算性が極めて低いことが判明した。タイ側は負担軽減のため、日本に共同投資に求めたが、日本政府がこれに応じなかった。タイ運輸省が最近閣議に提出した交通インフラマスタープランに同計画は含まれず、事実上廃案になったという。

 バンコク―チェンマイ間のほとんどは広大な平野に農地、疎林、荒れ地が点在し、大都市は存在しない。沿線の最大の都市はチェンマイ市だが、人口は2018年で約13万人に過ぎない。また、タイ北部は農業が中心で、世帯平均収入(2017年)は月1万9843バーツとバンコク首都圏(4万1335バーツ)の半分程度にとどまっている。両都市間の交通は格安航空を中心に空の便が1日20往復以上運航し、運賃は片道1000バーツ程度から。長距離バスも多数運行している。こうした状況から、巨額の費用を投じて高速鉄道を建設しても、人口や経済力の点から乗客数は期待できず、運賃の面でも格安航空との競争が避けられない。あとに残るのは膨れ上がる巨額の債務だけという懸念が強かった。

 安全面の不安もある。タイ全土で鉄道を運営するタイ国鉄(SRT)は設備の老朽化で脱線事故が絶えない。バンコク首都圏の高架鉄道BTSも近年は故障が相次いでいる。鉄道の運行管理、保守整備の能力が不足した状態で高速鉄道を導入すれば、重大な事故を招きかねず、その場合、日本に対するタイの国民感情にも悪影響が出る恐れがある。

 タイ政府はバンコク―チェンマイのほか、(1)バンコクからタイ東北部の中心都市ナコンラチャシマを経由しラオス国境のタイ東北部ノンカイ(2)バンコク北郊のドンムアン空港から東郊のスワンナプーム空港を経由し東部ラヨン県のウタパオ空港(3)バンコク―南部スラタニ(4)ラヨンからカンボジア国境のタイ東部トラート――という高速鉄道4路線を検討。このうち(1)のバンコク―ナコンラチャシマ間は中国政府との共同事業として2017年に着工した。ただ、工事は大幅に遅れ、完成の見通しは立っていない。(2)については事業者入札を実施し、タイ最大級の財閥CPグループと中国企業を中心とする共同企業体と詰めの交渉を行っている。(3)、(4)は採算性の問題から交通インフラマスタープランに含まれなかった。
《newsclip》

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