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【川崎大輔の流通大陸】アセアンからの外国人自動車整備エンジニア その6

2020年1月16日(木) 22時42分(タイ時間)
外国人活用の画像
外国人活用
《撮影 川崎大輔》
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《撮影 川崎大輔》
日本の国内新車ディーラーにとって、2020年は外国人活用元年。今まで整備士国家資格の有無にこだわっていた新車ディーラーだが、2019年の半ばより外国人整備人材への興味を強めている。日本における人材の不足、グローバル化、激変の日本企業。この時代の課題を解決し、生き残り、そして成長を実現するために、外国人の活用に真剣に目を向ける国内新車ディーラーが増えてきた。

◆優秀な理工系大学のベトナム人インターンシップ

株式会社ホンダサロン石川(平田他喜夫社長、石川県金沢市)は、ベトナムの大学生(自動車メンテナンス学部)2名を、インターンシップ生として受け入れた。ベトナムの理工系大学と提携し、日本語教育を受けた高度人材の雇用促進プログラムとして立ち上げたACCが提供する「インターンシッププログラム」での受け入れだ。

インターンシップログラムによって、優秀な人材の安定確保が可能となる。日本では自動車整備エンジニアの確保が難しい。そのため、新しい雇用促進手段、つまり将来的な正社員獲得の一環として、日本企業がこのプログラムを活用し始めている。ホンダサロン石川は新車販売店として初めてベトナムから自動車整備のインターンシップ生受け入れた企業となった。

ベトナム人のインターンシップ生の受け入れについては、同社副社長が将来の海外ビジネスへのきっかけとして考えたことがはじまりとなっている。確かに、異文化や、彼らの教育、言葉の壁にとまどう声も聞こえてくるように難しい面もある。しかし、インターンシップ生へのホスピタリティがお客様へのホスピタリティへと繋がり、そこから新しい組織の活性化が起こることは間違いない。彼らが、真剣に日本語や技術を学ぶか、そして日本との架け橋を創り上げるか。それは日本の受け入れ企業の組織や社員がどのようなマインドで彼らベトナム人インターンシップ生に接するかによって変わる。

◆人材先行型海外進出モデル、海外進出に向けて!

滋賀ホンダ販売株式会社(丸本博社長、滋賀県草津市)では、ベトナム人技能実習生(整備)を雇用している。現在、滋賀ホンダでは、自動車関連ビジネスでのベトナム展開を考えている。2020年中に現地で自動車整備工場をオープンする予定だ。「滋賀ホンダで見れば、将来はベトナムでのビジネスへシフトしていきたいと考えています。そのためには、彼らにはすでに伝えていますが、ベトナムの整備工場におけるリーダーを目指して欲しいと思っています」(丸本社長)。更に「技能実習生は3年で本国に戻ってしまう。彼らが帰ったときに受け皿になるよう、ベトナムで自動車整備工場を作っていこうと考えたのです」と指摘する。

進出を目指す国の外国人を雇用し、日本で雇用する。日本のビジネスに対する考え方、日本の文化や生活習慣を共有する。同じ釜の飯を食べて信頼関係を築く。外国人労働者は日本で骨を埋めないであろう。いつか母国に帰る。そのときに一緒に海外に進出すればベトナム進出のリスクは軽減される。初めて知らないベトナムに進出する際は分からないことが多い。その点、信頼でき、かつ日本のビジネス文化を理解している人材がいればスムーズな現地法人の立ち上げを実現してくれることは間違いない。海外進出のためにも、はじめに優秀な外国人労働者を日本で受け入れ「循環型モデル」を構築する方法は得策と言える。日本で一緒に働いてきた人材を現地のトップにしながら共に進出。これを人材先行型海外進出モデルと呼ぶ。

日本流はアセアンでは通用しない。まずは日本の常識を捨てることが必要だ。しかしそう簡単には捨てられない。そうした点からも、アセアンの市場でビジネスを根付かせていくためには、現地の人材を積極的に活用していくことが大事になる。これからの海外進出は、このような形が一般的になるだろう。

◆意義がないのに海外に活路を求めてはいけない

海外進出する企業は進出意義を必ず持たなくてはいけない。誤解を恐れずに言えば、意義がないのであれば海外に活路を求めてはいけない。みんなが進出するからと言う理由では難しい。更に国内での売り上げに限界を感じているからでは、困っているから買ってくださいと言うのと一緒になるだろう。双方のメリット、そして進出する国のメリットを考えて、創り上げて、提供していくことが大切だ。人材先行型海外進出モデルの強みはそこにもある。一緒に日本で働いてきた仲間の受け皿をつくり出し、そして日本の技術・サービスの素晴らしさを進出する国に伝えて、共感してもらって文化の中に取り込むことができるからだ。

日本の自動車整備業界のために経営者が考えなくてはいけないことは、循環型人材スキームの構築ではないだろうか。つまり、外国人整備人材を単なる短期的な人材不足における労働者とみなすのではなく、長期的な視野で信頼関係を築きパートナーとして外国人整備人材を受け入れていくと言う考え方、仕組みがこれからますます大切になってくる。

<川崎大輔 プロフィール> 大学卒業後、香港の会社に就職しアセアン(香港、タイ、マレーシア、シンガポール)に駐在。その後、大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年より自らを「日本とアジアの架け橋代行人」と称し、アセアンプラスコンサルティング にてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。2017年よりアセアンからの自動車整備エンジニアを日本企業に紹介する、アセアンカービジネスキャリアを新たに立ち上げた。専門分野はアジア自動車市場、アジア中古車流通、アジアのアフターマーケット市場、アジアの金融市場で、アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。
《川崎 大輔@レスポンス》