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タイ政権与党で内紛ぼっ発、党首交代へ 経済政策に影響か

2020年6月2日(火) 00時24分(タイ時間)
プラウィット副首相の画像
プラウィット副首相
写真提供、タイ首相府
【タイ】プラユット・ジャンオーチャー首相(元陸軍司令官、66)を支える政権与党パランプラチャーラット党の党執行部役員34人のうち18人が1日、一斉に辞表を提出した。役員の過半数が辞任したことで、現執行部は解散し、45日以内に新執行部が選出される。

 今回の集団辞職はウタマ・サーワナーヨン党首(財務相、59)、ソンティラット・ソンティジラウォン幹事長(エネルギー相、60)、スウィット・メーシンシー副党首(高等教育・科学・研究革新相、58)の追い落としが狙い。後任の党首には政権ナンバー2でプラユット首相の陸軍時代の上官であるプラウィット・ウォンスワン副首相(元陸軍司令官、74)が就任するとみられる。ウタマ、ソンティラット、スウィットの3氏は閣僚ポストも失う見通しだが、プラユット首相が緊急時の内閣改造に抵抗する可能性もある。

 執行部の解散について、ウタマ氏は「首相を支えるべきときで、政治ゲームをやっている場合ではない」と不快感を表明。ソンティラット氏は「このようなときに起きるべきことではなく、失望した」と批判した。プラウィット氏は「知らない。何の問題もない」とコメントした。プラユット氏は「自分は党員ではないので関係ない」などと述べた。

 ウタマ氏、ソンティラット氏、スウィット氏は軍事政権時代からプラユット政権の経済政策を担当してきたソムキッド・ジャトゥシーピタック副首相(66)率いる閣僚チームのメンバー。いずれも学者出身で、政治経験に乏しく、党内基盤が弱い。現政権では非議員として入閣し、閣僚ポストを狙う党所属の下院議員から辞任圧力を受けていた。

 4月にウタマ氏が「党の大物」から辞任圧力を受けたと認め、内紛が表面化した。このときはプラユット氏が「新型コロナウイルス感染症への対応に集中すべき」として事態の沈静化を図った。しかし、5月下旬になり新型コロナウイルスの国内感染がほぼ収束し、31日には新型コロナウイルス感染症の経済対策法案が議会下院を通過した。プラウィット氏を推す勢力は法案通過直後にウタマ氏らの追放に動いた形だ。

 ウタマ氏らの失脚はソムキッド氏が主導する経済運営の終えんとなりそうだ。ソムキッド氏が推進してきたタイの環太平洋経済連携協定(TPP)加盟は、すでに連立パートナーの主要2政党から反対を受けている。同氏率いる経済閣僚チームが退場すれば、加盟実現はますます見通せない状況となる。

 パランプラチャーラット党はプラユット軍事政権(2014~2019年)下の2018年、軍政の傀儡(かいらい)政党として結党された。軍政色を消すため、幹部に軍高官の名前はなく、ウタマ氏、ソンティラット氏らが幹部に就任した。その後、他政党のベテラン政治家、地方の有力政治閥などを取り込み、2019年3月の議会下院(定数500)選挙で116議席を獲得し、軍と対立するタクシン元首相派のプアタイ党に次ぐ第2党となった。パランプラチャーラット党は首相指名選挙で、非議員のプラユット氏を擁立。議会下院の中小政党と、軍政が選任した非民選の議会上院(定数250)の支持を得て、指名選挙に勝利し、プラユット氏の首相続投を勝ち取った。
《newsclip》

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