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〈スペシャリストに聞く〉森 享子 氏 小児精神科専門 バムルンラードインターナショナル病院

2020年6月30日(火) 22時55分(タイ時間)
森 享子 氏 小児精神科専門 バムルンラードインターナショナル病院の画像
森 享子 氏 小児精神科専門 バムルンラードインターナショナル病院
バムルンラードインターナショナル病院
コーディネーション医
森 享子 氏(小児精神科専門、医学博士、日本小児科学会専門医、指導医)

その2 相談が必要と判断すべきポイント

コロナ騒動が子どもたちに与えうる影響


 新型コロナウイルスの影響は現在進行形であり、今後どのような方向に向かうのか現時点では予測しづらい面があります。しかし大人同様に子どもたちも相応のストレスを受けているのは確かです。

 多かれ少なかれいずれ表面化する可能性の高い問題のひとつが、「学力の格差」です。学校や家庭それぞれのサポート体制が異なり、学力の格差が広がりやすい状況にあると思います。さらには、運動面や社会性の発達への影響も気になります。心身ともに、大きく成長、発達していくこの時期に、外出自粛により運動や友達と遊ぶといった機会が制限された場合、将来的な心身の発達にどんな影響を及ぼすか、注意深くかつ長期的にフォローしていく必要が生じます。会えない友達や日本のおじいちゃんおばあちゃんとSNSなどで会話したり、自宅内でも思いっきり体を動かして遊んだりと、限られた環境の中でも工夫して心身のバランスをとっていくことが大切だと考えます。

ゲームやスマホも接し方次第

 ゲームやスマホは、上手に利用すれば子どものストレスを解消する手段の一つとなります。しかし使い方が適切ではない場合、生活習慣の乱れや、心身の発達の歪みや遅れ、さらには依存の問題などネガティブな側面が強くなります。デジタル画像を長時間にわたり見続けることは、言語面や情緒面を含む精神発達や行動面に影響を及ぼす可能性があると考えます。日本小児科学会でも、子どものメディア視聴に関して一定の時間にとどめるよう勧告を出しています。

 ゲームやスマホは子どもが一人で、長い時間機嫌よく遊ぶので、忙しい親御さんにとっては非常に楽で助かるツールのひとつであるという一面も確かにあります。しかし、新型コロナウイルスの影響で、良くも悪しくもまとまった家での時間があるのですから、本を読んだり、みんなでできる遊びをしたり、親子でお料理を作ってみたりと、普段はなかなか忙しくてできないことを、ゆっくりとポジティブな方向性を持って取り組み、楽しい「おうち時間」を過ごせればと思います。

専門家への相談を決めるさまざまな判断材料

 今は家族全体にストレスがかかった状況です。このような日常の中で、イライラや食べ過ぎなどストレスへ多少の反応が出てしまうのは、人間としてごく自然なことです。ストレスに適応するために、自己調整しているともとらえられます。

 しかし、行動、感情、思考の変化があまりにも激しい場合や、不眠、食欲不振などの身体の症状が現れた場合などは注意が必要です。具体的には、癇癪(かんしゃく)を起こすと手に負えない、暴力を振るってしまうといった行動、何をしていても涙が止まらない、抑うつ的、ネガティブ思考などといった症状が挙げられます。このような状態の程度がひどく続く場合は、専門家に相談するのがよいでしょう。

 もともと潜在的にあった家庭内の問題が、今回の自粛生活により家族が長時間一緒に過ごす時間が増えたことにより、さらに悪化して表面化してきているケースもあるとも言われています。日本では、新型コロナウイルスの影響でサポート活動に制限のある中、子どもへの虐待や夫婦間などの家庭内暴力に、どのように対応するかということが課題となっています。

 子どもの変化により迅速に気付くためには、家庭内で普段からリラックスして話しやすい環境を築くことが大切です。寝る前などに、「最近どんなこと考えているの?」といった漠然とした会話をとりとめもなくすることもよいでしょう。会話の中で子どもが何を考えどう感じているのか、汲み取ることが大事です。返事に戸惑い、言葉が出ないときは、「そんなふうに感じているんだね」と、子どもの言葉を繰り返してあげることで、「分かってもらえた、聞いてもらえた、ほかの話もしてみようかな。」と、本人の安心感につながります。

 気になることがあっても、本人が話したがらない様子の時は、根掘り葉掘り質問しないほうが良いでしょう。そのようなときは、直接的に問題について話し合うよりは、気分転換になるような遊びに誘ってみましょう。そこから自然に会話が始まるかもしれません。問題を明らかにして、どうすればよいかアドバイスを重ねるよりは、むしろ親は聞き役に徹する方が、子どもは心地よく感じることもあります。

 子どもが中学生くらいに成長すると、「カウンセリングを受けたい」と自ら訴えてくることがあります。子どもの意見を尊重し、親はあくまでもサポート役として病院に同行するのが良いと思います。子どもが意を決して自ら情報を発信したにも関わらず、親にうまく伝わらない、理解してもらえないと感じると、その後はあまり話さなくなってしまうこともあります。親ではなく、友達に相談してストレスを発散したり問題を解決したりする子もいます。まずは安心できる家があること、何でも話しやすい環境をつくること、そして友達を始めとして支えてくれる周囲の人々とのつながりを大切にすること、これらのことを心にとめて過ごしていきたいものです。

森 享子 氏(医学博士、日本小児科学会専門医、指導医)

 1996年徳島大学医学部卒業。岡山大学医学部付属病院、関連病院で研修。豪州アデレート母子病院小児科勤務、英国でキングスカレッジ児童青年精神科修士を取得し、子どものメンタルヘルス研究や在留邦人子女の相談活動に携わる。帰国後、大阪府立母子保健総合医療センター発達小児科などを経て、東京都杉並区で子ども心と育ちのクリニックを開業。2018年からバンコク在住。

無料相談室:毎週火・金曜日、10-11時 完全予約制 1回15分 連絡先02-011-3388(日本語カウンター)

Bumrungrad International Hospital
住所:33 Sukhumvit 3, Wattana, Bangkok 10110
電話:0-2066-8888(英語にて24時間対応)
日本語カウンター:0-2011-3388(午前7時―午後7時)
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