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タイで反政府集会拡大 憲法改正、国会解散要求

2020年8月11日(火) 16時06分(タイ時間)
【タイ】タイでの報道によると、タイ各地で行われている反政府集会が規模、頻度を増している。10日にバンコク郊外のタマサート大学ランシットキャンパスで行われた集会には学生を中心に約2000人が参加。非民主的な現行憲法の改正もしくは廃止、国会解散などを要求した。

 こうした中、タイでタブーとなっている「王室」の改革を求める動きも表面化し、王室を旗印とする特権階級、プラユット政権が神経を尖らせている。

 タイには国王と王妃、王位継承者、摂政に対する批判に重刑を科す不敬罪がある。王室に関する議論自体が政治的、社会的にタブーで、王室批判は国外在住のタイ人の間やインターネット上に限られていた。

 しかし今月3日、バンコクの民主記念塔で開かれた反政府集会で、弁護士のタイ人男性アノンさん(34)が、プラユット軍事政権(2014~2019年)が作成施行した現行憲法が国王に過大な権限を与え、国王を元首とする民主主義の原則を逸脱したと主張。様々な例を挙げて問題点を指摘し、改革が必要という考えを示した。

 タイ当局は7日、アノンさんら2人を煽動罪などの容疑で逮捕した。アノンさんは8日、違反を繰り返さないことを条件に、刑事裁判所により保釈が認められ、9日に北部チェンマイ市、10日にタマサート大学で反政府集会に参加し、再度、民主化を求める演説を行った。

 タマサート大学での集会について、プラユット首相兼国防相(元陸軍司令官)は11日、「不愉快だ」と述べた。また、プティポン・デジタル経済社会相が10日、王室を巻き込めば法的措置の対象になると警告した。

 民主化や王室に関しては、富豪のタナートン党首が中心となり2018年に設立された新党、新未来党が、憲法改正、不敬罪改正などを訴えて若者の人気を集め、2019年の議会下院(定数500)選で81議席を獲得、第3党となった。同党は昨年10月、2連隊の指揮権と予算をタイ陸軍からワチラロンコン国王に移管する緊急勅令の国会採決で唯一反対票を投じた。

 しかし、今年2月、下院選の際に党がタナートン党首から1億9120万バーツを借り入れたことが1個人からの多額の政治献金を禁じた政党法違反にあたるとして、憲法裁判所が同党を解党し、タナートン党首ら党幹部16人の参政権を10年間停止した。新未来党に政治改革の希望を託していた学生らは解党を契機に反政府集会に移行したとみられる。 

 プラユット首相は陸軍司令官だった2014年、バンコクで発生した大規模な反政府デモをきっかけにクーデターを起こし、タクシン元首相派の民選政権を倒して軍事政権を発足させた。内外の圧力を受け、2019年3月に2011年以来初めての議会下院選挙を実施。軍政の傀儡(かいらい)政党であるパランプラチャーラット党、軍政が議員を選任した非民選の議会上院(定数250)などの支持を受け、首相に再任された。

 現行憲法下の政体は、上院という名の非民選の最大政党を擁する旧軍政勢力が民主的な衣をまとって政権を運営する。同様のシステムだった1980年代のプレム政権当時から、民政移管、3度のクーデターを経て、先祖返りしたかたちだ。
《newsclip》

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