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「新型コロナウイルスについての基礎知識」バムルンラード病院 百武加恵 医師

2020年11月17日(火) 00時22分(タイ時間)
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百武加恵 医師
「今こそ知りたい! 新型コロナウイルスについての基礎知識セミナー」より
主催:バムルンラード・インターナショナル邦人ビジネス開発部
講師:百武加恵 医師 内科医

■新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状および経過、日本人の平均体温

 ウイルス自体はもともと存在していた。大半は無症候性で、症状が出ても鼻水やだるさなどの軽い風邪の症状だった。ウイルスのスパイク部分に変異が起こり、現在の新型コロナウイルスと化した。潜伏期間は1-14日間で、多くは4、5日目で症状が出る。

 感染経路は主に唾液の飛沫で、そのほか接触や三密状態での空気感染など。比較されやすいインフルエンザと異なるのは発症する前から感染性があるという点と感染性が高いという点であり、「知らないうちに感染」し、パンデミックが引き起こされた。感染性は10日ほどでなくなると言われているがウイルスの断片は体内にしばらく残ることが多く、PCR検査を受けると3カ月以内は陽性のことがよくある。

 症状は発熱、空咳(せき)、息切れなど。ほか味覚・嗅覚障害なども報告されているが、日本人は全体の1割と少数派で、一方海外では4割という国もある。風邪のような症状が1週間ほど続き、たいていはそのまま収まっていくが、一部はそれ以降に肺炎のような症状を起こし、集中治療室に入るほどに重症化してしまう。このような重症化に至る正確な原因は不明とされる。

 日本人の平均体温は36.85度で、37.2度までが全体の7割を占める。ただ体温というのは一定ではなく、朝は低く夜や食後などは高めで、体温を測る部位によっても異なる。誰もが自分の平均体温を知っておくべきで、平熱より1度高かったら注意が必要。

■病院を受診すべき症状の目安、PCR検査要領、治療薬

 「息苦しさ」「強いだるさ」「高熱」といった症状を起こしている場合、特に重症化リスク(*後述)を抱える方は症状が軽い場合でも病院へ。本人のみならず周囲の人たちも、「顔色が悪そう」「ぼんやりしている」とか普段と異なる表情や行動に気が付いたら受診を促してあげよう。日本では「明らかな症状が見られなければPCR検査を受けられない」といった報道が多く聞かれたが、タイでは症状がなくても検査を受けることができる(症状がない場合は自費)。

 在タイ日本人は、日本や海外への渡航で飛行機の搭乗前にPCR検査を受けることが多い。渡航先や航空会社によって異なるがだいたい72時間以内といった決まりがあるので、間違いないよう正確に把握して検査を受けるようにしたい。フライトスケジュールの変更が多々あるため、「搭乗便が3日も遅延して検査の有効期限が切れてしまい(検査の)受け直しとなった」という実話もあるので、ギリギリまでタイミングを見計らうのが望ましい。

---> タイでの検査と料金の目安
 ● PCR検査:7500バーツ(最短5時間で結果が出る)
 ● 抗原検査:タイではなし(日本は最短30分)
 ● 抗体検査:1300バーツ(約1時間)

---> 治療薬
 ● レムデシビル:抗ウイルス薬=3万バーツ(10日間)
 ● アビガン:抗ウイルス薬=1万1400バーツ(5日間)
 ● デキサメタゾン:ステロイド=400バーツ~
 ● トシリズマブ:抗IL-6R抗体、関節リウマチなど=5万7000バーツ

■症状は見受けられないがPCR検査で陽性だった場合

 タイでは「入院2週間+自宅待機2週間」が原則。入院先は、タイ人は基本的に社会保険で自らが指定した病院、外国人は国立でも私立でも選択の余地がある。陽性が出た者と「感染可能期間内」に接触した者は保健省の調査対象となる。「ローリスク」と判断されれば「健康観察」に、「濃厚接触者」と判断されれば「PCR検査+自宅待機2週間」が義務付けられる。

---> 感染可能期間
 ● 患者(確定例):発症2日前から入院までの間
 ● 無症状:陽性の検体採取日の2日前から入院までの間

---> 濃厚接触者
 ● 患者(確定例)の感染可能期間に接触した者のうち、患者と同居あるいは長時間の接触があった者、手で触れることのできる距離(目安は1メートル)で、必要な感染予防策なしで患者と15分以上の接触があった者などが該当

---> 健康観察
 ● 手指衛生やマスク着用の徹底および健康状態に注意を払う
 ● 不要不急の外出を控え、やむを得ず移動する際にも公共交通機関の利用を避ける
 ● ほかの従業員との接触を減らす

■社内に感染者が出た場合の消毒について

 「感染者の最後の使用から3日以内の場所」を消毒する。ウイルスは3日で消滅するといわれているので、該当箇所への3日間の立入禁止の処置も有効。

 消毒作業の前に十分な換気を行い、マスク、保護メガネ、手袋、ガウンなどの個人防護具を用いる。消毒範囲は、感染者の執務エリアとされる机やイスなどの半径2メートル程度の範囲。ほか、トイレ、喫煙室、休憩室や食堂などの使用があった場合はそれらも消毒対象となる。

■保険

 海外旅行保険は、責任期間中に感染・発病し、責任期間終了後30日または72時間以内に治療を開始した場合は有効となる。通常の疾病やけがは責任期間終了後72時間以内と定められていることが多いが、新型コロナウイルス感染に対しては多くの保険会社が30日以内までに延長しているもよう。無症状で隔離入院した場合の補償は、加入した保険の内容と保険会社の方針によって異なる。

 タイのコロナ保険は身分証明書のみで加入できる例が多い。1年当たり掛け金150~850バーツと安く感じられる。治療費の補償は1~10万バーツ、集中治療室への入院の場合10万~100万バーツなど。

■子どものマスク着用の必要性

 米国の場合、18歳未満の感染者は全体の1.7%で、しかも無症候性が多い。しかし米国疾病予防管理センター(CDC)は、2歳以上はマスクを着用すべきとしている。世界保健機関(WHO)は、12歳以上はマスクを付けるべき、5歳以下は付けるべきではないとしている。


■自分でできる免疫力アップ方法、重症化リスク因子

 免疫力アップには「バランス良い食事」「適度な運動」「十分に休む」「ストレスをためない」「体を温める」などの基本的な健康法を守る。前述の「重症化リスク」については以下のとおり。

---> 重症化のリスク因子
 ● 65歳以上
 ● 慢性閉塞性肺疾患
 ● 慢性肝臓病
 ● 糖尿病
 ● 高血圧
 ● 心血管疾患
 ● 肥満(BMI30以上)

---> 要注意な基礎疾患
 ● 生物学的製剤の使用
 ● 臓器移植後やその他の免疫不全
 ● HIV感染症
 ● 喫煙歴
 ● 妊婦
 ● 悪性腫瘍

■日本人の致死率、外国との比較、ワクチン開発

 日本人の平均致死率は「第4回新型コロナウイルス感染症対策分科会」の調査結果で3.8%(7月22日時点)。年代別で最も多いのは80代以上で26.9%、次いで70代で13.5%、60代で4.3%、50代以下で稀となっている。死亡者数は10月21日時点の累計で1729人。ただし6月18日より、厚生労働省の指導に沿ってPCR検査で陽性が出た場合の死因は全て新型コロナとカウントすることになっており、実際新型コロナ肺炎が原因でなくなった例はもっと少ないと思われる。ちなみに日本では癌や高齢などの一般的な死亡者は一日約3000人、交通事故による死亡者は年間約3500人である。ワイドショーの不安をあおるような報道に踊らされることがないようにしたい。

 人口100万人当たりの死者数で見ると、日本は世界でも下位の13.7人。韓国は同9人で、中国はさらに低い同3.3人。最も高いのは南米のブラジルで同743.1人、次いでメキシコの同696.6人、そして米国の同685人と続く。医療崩壊によるものを除いて国別の差異の理由は明らかになっていないが、ロックダウンを早期に実施した国でなおかつその直前の中国人の流入が少なかった国の致死率が高く、新型コロナに対する免疫状態の差異が原因とも言われている(お勧め書籍:「ここまでわかった新型コロナ」上久保靖彦・小川榮太郎 (著))。

 ワクチン開発は通常10~15年はかかるといわれるが、新型コロナに関しては急ピッチで進められている。米国、英国、ロシア、中国で現在、10種類のワクチンが第3相という最終段階で試験中という(11月9日、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発中のワクチンで「90%を超える有効性が確認された」とする中間解析結果が発表され、11月中にも米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請する予定)。

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