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タイ首相激怒、革新系政治家が「王室ワクチン」批判

2021年1月20日(水) 02時20分(タイ時間)
【タイ】タイの革新系政治勢力を率いる政治家のタナートン・ジュンルンルアンキット氏が、英製薬大手アストラゼネカと英オックスフォード大学が共同開発した新型コロナウイルスワクチンをタイ王室系企業がタイで生産する計画を批判し、物議を醸している。

 タナートン氏は18日、フェイスブックで「王室ワクチン。得するのは誰、損するのは誰?」と題した動画を公開した。それによると、タイでアストラゼネカのワクチンを生産するのはワチラロンコン・タイ国王が全額出資する製薬会社サイアムバイオサイエンス。同社はアストラゼネカから技術供与を受け、2億回分のワクチンを生産し、2600万回分をタイ国内に供給、残りを各国で販売する。また、タイ政府から支援金として14.5億バーツを受け取る。

 タナートン氏は、タイ政府のワクチン調達で確定しているのは中国・科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)のワクチン200万回分とサイアムバイオサイエンスが生産する2600万回分だけで、タイの総人口の21%分に過ぎないと指摘。実績の乏しいサイアムバイオサイエンスに依存し過ぎだとも批判した。サイアムバイオサイエンスが契約を得た経緯などについては言及しなかった。

 タナートン氏の批判に対し、プラユット首相は19日、「すべてねつ造、すべて嘘だ」と猛反発し、「こうしたニュースを報じたメディア、ソーシャルメディアに対し法的措置を取る」と警告した。

 タナートン氏はタイ自動車部品大手タイ・サミット・グループの創業者一族の富豪で、プラユット軍事政権(2014~2019年)下の2018年に新党、新未来党を設立した。新未来党は2019年3月に8年ぶりに実施された議会下院(定数500)選で、クーデターを繰り返すタイ軍の抜本改革、軍政が作成施行した民主主義を制限する現憲法の改正、国王批判を禁じた不敬罪の改正などを訴えて、バンコクの中間層、若者らの支持を集め、81議席を獲得。タクシン元首相派・反軍政のプアタイ党、軍を母体とするパランプラチャーラット党に次ぐ第3党に躍り出た。

 新未来党はパランプラチャーラット党を中心とする第2次プラユット政権の発足後も軍・保守派への攻撃を緩めず、2019年10月には、2連隊の指揮権と予算をタイ陸軍からワチラロンコン国王に移管する緊急勅令の国会採決で唯一反対票を投じた。こうした言動が王室を旗印とする保守派を激怒させ、2020年11月には、タナートン氏が下院選に立候補した際にメディア会社の株式を保有していたことが選挙法違反だとして、憲法裁判所が同氏の下院議員資格をはく奪。翌2020年2月には、新未来党が下院選の際にタナートン氏から1億9120万バーツを借り入れたことが1個人からの多額の政治献金を禁じた政党法違反にあたるとして、憲法裁が同党を解党し、タナートン氏ら党幹部16人の参政権を10年間停止した。
《newsclip》

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