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プラユット首相、元麻薬囚の副大臣解任 タイ与党分裂も? 

2021年9月10日(金) 00時42分(タイ時間)
タマナット氏の画像
タマナット氏
写真提供、タイ農業協同組合省
ナルモン氏の画像
ナルモン氏
写真提供、タイ労働省
【タイ】プラユット首相兼国防相(元タイ陸軍司令官)が8日付でタマナット副農業協同組合相とナルモン副労相を解任したことが9日、明らかになった。

 タマナット氏は非議員のプラユット首相を支える最大与党パランプラチャーラット党の幹事長。8月31日~9月3日に議会下院で行われた首相ら6閣僚の不信任案審議で、自派の下院議員が不信任票を投じる可能性を示唆して首相に内相、農相などのポストを要求したと報じられていた。首相ら6閣僚は4日の採決で全員が信任されたが、首相への不信任票は6閣僚の中で最も多かった。

 タマナット氏は9日、記者会見を開き、解任されたのではなく、首相と対立して自ら辞表を提出したと主張した。パランプラチャーラット党を離党して新党を設立する可能性も認めた。

 タマナット氏はタイ軍士官学校卒。タイ陸軍士官だった1993年にシドニーでヘロイン密輸で逮捕され、実刑判決を受け、4年間服役した。1997年に釈放、国外追放となった。タイに帰国すると、改名してタイ軍に復帰し、翌1998年に昇進した。同年、男性同性愛者の学者に対する性的暴行と殺人で逮捕されたが、2001年、無罪となった。

 1999年、タクシン元首相派が設立した新党タイラックタイに参加。2019年3月の下院選にパランプラチャーラット党から出馬し当選。同年7月にプラユット内閣に入閣した際に服役の事実が発覚したが、プラウィット副首相(パランプラチャーラット党々首、元タイ陸軍司令官)、プラユット首相ら政権幹部は不問に付した。2020年6月にパランプラチャーラット党副党首、今年6月に同党幹事長に就任。2019年8月に発表された下院議員の資産報告によると、タマナット氏の資産は9.3億バーツに上る。

 野党は現行憲法は違法薬物犯罪などで有罪が確定した人の議員資格を認めていないとして、憲法裁判所にタマナット氏の下院議員及び閣僚資格の取り消しを求めたが、憲法裁は今年5月、タマナット氏が有罪になったのはタイ国外だとして、訴えを却下した。

〈パランプラチャーラット党〉
プラユット軍事政権(2014~2019年)下の2018年、軍政の傀儡(かいらい)政党として結党された。利益誘導型の地方有力政治家、王党派政治家などを取り込み、2019年3月の議会下院(定数500)選挙では116議席を獲得し、軍と対立するタクシン派のプアタイ党に次ぐ第2党となった。パランプラチャーラット党は首相指名選挙で、非議員のプラユット氏を擁立。議会下院の中小政党と、軍政が選任した非民選の議会上院(定数250)の支持を得て、指名選挙に勝利し、プラユット氏の首相続投を勝ち取った。
《newsclip》