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〈タイ業界事情〉対面とオンラインのハイブリッド、コロナ禍で追求したインター校の授業の在り方

2022年2月22日(火) 00時25分(タイ時間)
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TRAILL INTERNATIONAL SCHOOL 鈴木 孝子

TRAILL INTERNATIONAL SCHOOL
鈴木 孝子 氏 日本語科・日本人部主任(Head of Japanese)

 コロナ禍の過去2年は試練の連続でしたが、保護者の理解のもと生徒たちと協力して乗り越えてきました。学校にとって対面授業を行えないという状況は致命的といえましたが、そのような逆境に打ち勝つべく完成度の高いオンライン授業を実施、コロナ禍を理由とした転校や退学を出さず、ここまでやってこられました。現在は対面とオンラインを融合したハイブリッドな授業態勢を構築。今後も授業の在り方を追求しつつ、ニューノーマルに臨んでいきます。

対面授業とオンライン授業の融合

 タイの教育機関は現在、万全なコロナ対策を施した上でそれぞれが授業形態を判断するように、という指導を教育省から受けています。当校は対面授業を最優先とし、そのための態勢を整えて昨2021年11月に再開しました。今年は1月に入って早々、オミクロン株の感染拡大を受けて全面オンライン授業に切り替えましたが、これは一部の保護者の意見を尊重した一時的な処置です。

 当校ではこれまで、生徒たちによる校内感染は発生していません。ATK(Antigen Test Kit)を利用しての週2回の自主検査が奏効しているといえます。検査結果によってはただちに自宅待機の判断をし、クラスメイトの対面授業と同時進行でオンライン授業を受けることにしています。教師たちももちろん、ATKによる自主検査と健康管理を徹底しています。

 校内は当然、食事のとき以外はマスクを着用、ソーシャルディスタンシングを確保、着席が必要な場所においては適切な間隔でアクリルボードを設置など、日本でいう三密防止の対策がなされています。生徒にとって学校は最も安心できる空間ともいえます。

オンライン授業で教師が背負う苦労

 学校での授業が対面からオンラインに取って代わったことで、一部では「教師は楽だ」とイメージが広がったようです。「経営も楽だ」といわれて授業料を巡る騒ぎが起きた私立学校もあったようです。実際には、システム構築のための投資がかさんだ学校、生徒たちとの円滑なコミュニーケーションを阻まれて苦労を背負う教師が多いはずです。

 当校ではオンライン授業において、クラスの担任が朝礼で出欠を取るのはもちろん、学科によって教師が交代する際は改めて出欠が取られます。授業を受けられない生徒を出してはならないため、オンラインでの出欠は常に気を使います。

 例えば発音や感情の表現などが伴う言語の授業で、オンラインの限界を感じる教師もいます。作文は生徒による提出も教師による採点も、そのつどデータ化が必要です。添削でやり取りが何度も発生するときのデータ化には、生徒と教師の双方が苦労を感じます。授業によってはオンライン化されたことで、教師が強いられる手間が何倍にも膨れ上がる、というのが実情です。

さらに深まった保護者とのつながり

 意思疎通の難しさを思い知らされたオンライン化ですが、その一方で人とのつながりを深めることも知りました。例えば保護者との関係です。

 これまでの保護者会は学校に集まって開かれるのが当然といった感じでしたが、自宅や仕事場からの距離の問題で出席できない保護者が少なくありませんでした。コロナ禍で保護者会もオンラインに切り替わってからは、時間さえ合わせれば距離に関係なく出席できるようになり、多くの保護者が意見を交わせるようになったのです。対面しないことによって、より積極的な発言も可能となります。コロナ禍とそれによるオンライン化が、学校と保護者とのつながりを深めたともいえます。

編入時期が早まる日本人生徒

 当校の授業の在り方に対して多くの評価をいただき、コロナ禍を理由とした他校からの中途編入が増えました。日本人生徒に関しては編入時期が早まる傾向にあるようです。

 例えばインター校への高校進学を考える場合、卒業式を待たずに中3の3学期、インター校では2学期の始まりとなる1月というタイミングでの編入がよく見られます。ただ、インター校で交わす言葉は英会話ではなく、教育を受けるための英語です。習得にかける時間が中3の残り1学期のみというのは何とも不安、転校は早い方が良いという考えが広がっています。そのためか最近は、中3を待たずに中2での編入を決めることが多くなってきたようです。

 学校は子どもにとって単なる勉強の場ではなく、社会に接する場であり、人間関係を構築する場です。対面授業が再開されて学校に戻ってきた子どもたちはのびのびして表情も明るく、教師陣も子どもたちの笑顔を見られて幸せでした。「通学できず仲間にも会えなかった」という、失われた学年は戻ってきません。当校は今後も、社会状況に応じてオンラインを取り入れつつも、対面を最優先とした授業を続けていきます。

TRAILL INTERNATIONAL SCHOOL
住所:43 Soi 16 Ramkhamhaeng Road, Huamark, Bangkok 10240
電話:0-2718-8779 ファクス:0-2718-8546
Eメール:enquiries@traillschool.ac.th
ウェブサイト:www.traillschool.ac.th

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