高橋智 氏(所長)
にがみのないクリアな味がトレンド
――進出の経緯は?
日本で皆様のご支持をいただいているスーパードライは、1994年に米国、2000年に欧州諸国で生産販売を開始、世界的な基盤を固めつつあります。さらにアジア太平洋地域での基盤を確固たるものにするため、2002年4月にタイに進出、ビア・シン(シンハー・ビール、ブンロート・ブルワリー社)のコンケン工場で生産を開始しました。先進諸国のビール市場は飽和状態で、アルコール摂取量も減少しています。これから市場の伸びが期待できるのはアジア諸国という読みもあります。また、タイは政治的に安定し、ブンロート・ブルワリーはビール製造で70年以上の歴史をもっています。製造技術や信念など、信頼をおけるという判断で提携を結びました。
――タイのビール市場は?
特定消費税局の統計で2002年度(2001年10月〜2002年9月)が前年比10%増の120万キロリットルです。日本の発泡酒を含めた消費量は年間700万キロリットルですから、タイはまだまだ伸びが見込めます。歴史的にはビア・シンが70年以上。日本はビール生産が明治に入ってからですから、110〜120年。タイのビールの歴史は決して浅いものではありません。
――ビールのし好の変化は?
日本はにがみのないクリアな味がトレンドになっています。欧米諸国では、ビールににがみをつけるのに使用するホップの消費量が減少の傾向にあり、やはりにがみのない味が好まれているようです。タイは最近まで、ビール=ビア・シン、スタンダードな味=ビア・シンでした。現在、ビア・チャーン(TCC社)が絶対的なシェアを確保しています。さらにプレミアム(高級)ビールの積極的な参入などもあり、し好は変わりつつあると思います。
味の統一をコンセプトに
――スーパードライの味について
世界中どこでも同じ味、というコンセプトを貫いています。タイ製スーパードライも、スペックは日本と同一、ビール製造で最も大切な酵母ももちろん日本のものです。現在、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、フィリピン、カンボジアへの輸出を行っていますが、すべて同じスペックです。
――味が違うと感じるタイ在住の日本人もいらっしゃるようです
ビールを飲む気候的環境、つまみや料理の違いなどで、味覚は変わってきます。当社が行っている味感分析では、日本製とほぼ同じ味であるといえます。また、緑色のビンによりお客様が日本のビールとは違うという印象をお持ちになる事は考えられますが、これはタイのプレミアムビールのトレンドを加味したものです。
――タイは安いビールが売れる市場だと思われますが?
ビア・チャーンの絶対的な売り上げから見ると、確かに低価格志向がありますが、ハイネケン(タイ・アジアパシフィック・ブルワリー社)のように、プレミアムビールの売り上げも確実に伸びています。味に対するコンセプトを貫き、プロモーションを効果的に行うことにより、支持は得られるものと思っております。
――今後の展望は
今年の雨期明けまでに、業務用の樽生ビールを発表します。スペックだけでなく製造法も日本と同じビールで、ビアガーデンなどでの販売を計画していきます。樽生ビールはオペレーションが大事です。品質管理で信頼できる店にポイントを絞って販売していく予定です。輸出面では、東南アジア諸国連合(ASEAN)自由貿易協定(AFTA)や2国間自由貿易協定(FTA)内で、積極的に攻勢をかけていきます。ベトナムなど、アルコール消費量の伸びが期待できる魅力的な国が、まだまだあります。これまでブンロートとの提携のみで製造してきましたが、今年5月、当社バンコック駐在員事務所を開設しました。日本人の皆様にはもちろん、アジア太平洋地域のお客様にもおいしく召し上がっていただけるよう、努力していきます。
−−ありがとうございました。
17th Floor, UBC II Building, 591 Sukhumvit 33, Wattana, Bangkok 10110
電話:0-2262-0066 ファクス:0-2262-0065
ウェブサイト:www.asahibeer.co.jp