
アプリケーション・ソフトウエアの機能をインターネットを通じて利用者に提供するサービスがタイにも登場した。同サービスを行う業者をASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)と呼び、日本では5〜6年前から知られ始めた。回線スピードの高速化などでインターネット環境が急激に向上している現在、世界各国でさらなる普及が期待される。
文章を書く、データを管理する、写真をレタッチするなど、コンピュータ上で作業を行う場合、何かしらのアプリケーション・ソフトが必要となり、決して安くはない価格でパッケージを購入しなければならない。それに対し、ASPはサーバ上のアプリケーション機能を契約者(ユーザー)がインターネットを通してシェア(レンタル)するという仕組みで、ユーザーはアプリケーションを所有しなくても、必要な機能だけを必要なときに必要な場所で使用することが出来る。
ASPの存在は、企業にとっても個人にとっても大きなメリットとなる。以前はERP(統合基幹業務アプリケーション)やグループウエア(スケジューラ、プロジェクト管理、勤怠管理など)といった企業向けの業務システムが主だったが、最近では個人ユーザーが日常多用するアプリケーションも対象となってきた。企業であれば、コンピュータの台数の分だけパッケージを購入し、それぞれにインストールして管理し、古くなればアップグレードする手間や、独自でソフトウエアを開発する経費を大幅に削減することが可能だ。
個人であれば、ブログ、ウェブメール、フォトアルバム、ネット翻訳、ネットショップ、ネット決済、アフィリエイトプログラム(成功報酬型広告)、ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)のウィルス・チェック・サービスなどを、小額あるいは無料で利用できる。広い意味では、ネットワークを介してサービスを提供するビジネスは全てASPといえる。
ASPサービスを利用するのに必要な環境は、インターネット接続とブラウザのみ。回線スピード、ストレージ(サーバ側のデータ保存容量)、セキュリティーなどが向上すればするほど使いやすくなっていく。日本のインターネットの回線スピードは一般に、ADSLで12メガ(下り)、FTTH(光接続)では100メガと高速で、ストレスなくASPサービスが利用できる。
一方、タイのADSLは普及レベルで1メガと速度がまだまだ遅く、企業向け専用線接続インターネットの10メガとなると月15万〜16万バーツと破格の料金で、利用者はほとんどいなくなる。このため、タイではデータのダウンロード・アップロードを頻繁に行うASPサービス、例えばインターネット上でのファイル共有や、データが重い画像を取り扱うフォトアルバムなどは、現状では不向きとなる。
タイでは、ソフトウエア産業振興事務局(SIPA)が、「Thai Tourism c-Commerce」というプロジェクトを進めており、ホテルPMS(プロパティー・マネジメント・システム)やGDS(グローバル販売システム)などのASP化を図っている。