歯科治療を受ける際、いくつかの注意点がある。1)受診者自身が歯科治療の知識を得、受身の治療ではなく術者側と共に直すという意識を持つ、2)応急処置以外は、何軒か回って自身に合った医院を選ぶ、3)治療前に納得できる説明を受ける――、などだ。歯科治療はその質により費用が異なる。治療の質、治療時期の違いが、数百万円の貯金に値することを知るべきだ。
歯科治療はどこの国でもビジネスとして成りたっている。治療の質も極端な二極化が進んでおり、残念ながら良質と呼べる治療は少数派だ。タイや日本も例外ではなく、特に補綴物(ほていぶつ、歯にかぶせるクラウン、詰めもの、入れ歯など)の分野では、どの国もずさんともいえる治療が蔓延している。補綴治療は、歯科医のみでは完結しない。
日本では、歯科医が保険治療の安さを強調するが、治療内容からすれば決して安くない。その歯科医自身が、保険治療が良質だと考えていないだろう。現在のところ、世界中どこでも、良質な治療を受けるには費用がかかる。タイでは、「クラウン数千バーツ」という、お得そうな話をよく耳にするが、予備知識があれば、絶対に受けたくないと感じるはずだ。
受診者は、治療費が安いと感じたらなぜその費用で出来るのか、高いと感じたらなぜそれほど必要なのかを、考える必要がある。受診者が知識を多く取得することで、術者はより良質で良心的な治療を心がけるようになり、それが歯科医療の技術向上につながる。
地場の治療を受けた歯を見る機会がある。そのたびに、受診者が自身に合った治療を受けるのがいかに難しいかを痛感する。タイの歯科治療は、基本的に世界共通の診療形式で、1日数人の患者、1回の治療に時間をかけ、早期に治療していく。また、タイの歯科医は十分な教育を受けていると判断している。ただ、その知識や技術に見合った治療をしているかというと、話は別だ。歯科治療は知識や技術のほか、歯科医の考え方、良心、忍耐などにより質が変わる。また受診者の関心度、積極性などでも変わってくる。
歯科補綴物を作る歯科技工士に関しては、レベルの低さは否めない。教育自体がほとんどなされていないため、意識が低く、市場も小さい。これはどの国にも当てはまることで、歯科技工士の資格が存在する日本やドイツといった国が特殊であり、とかくタイを含むアジアでは、低さが目に付く。日本では人体への悪影響が指摘され、取り外し可能な入れ歯以外ほぼ使用されないニッケルが、アジアでは安価というだけの理由で多用されている。
海外で歯科治療を受けた場合、日本の公的保険加入者なら治療費の約70%が還付される。ただ、適応は日本の保険治療と同様のものを受けた場合のみ。還付額も、日本の保険治療費を基準に計算され、超過分は自己負担となる。「何でも無条件で70%還付」という誤解が多く、実際そう受け取れる説明をする歯科医もいるので、注意が必要だ。
書類不備で、還付自体が受けられないという事例も後を絶たない。還付を受けられた人は、それだけで幸運だと思うほど、問題が多い。当医院では、治療明細等記載の日本語翻訳済み還付申請書、症例により写真を添えてお渡ししている。
冒頭で安くて良質の治療は無いと断言しているが、実はタイはそれが可能な数少ない国の一つであると感じている。歯科医は知識的に世界レベル達しており、治療内容によっては、適正かつ費用もかさばらない。術者の意識改革が進めば、「日本で受けたずさんな保険治療をタイでやり直し」といった事も可能になるではないだろうか。そのためにも、受診者の知識取得が重要となる。タイの場合、検診が無料のところが多い。欧米式に数軒回り、検診と相談のみしてみたい。そのとき、安さ利点ばかり強調してないか? コップは使い捨てのものか? 治療時使用するゴム手袋を使い回してないか? などを見聞きするだけでも、違いを見極める目や知識を養うことが出来る。一方、インターネットは情報量過多で、自身に適した的確な情報の取得が難しい。その正誤の判断にも、歯科治療の知識は必須だ。
そして何よりも大切なのは、3~4カ月ごとの歯のクリーニングと検診。早期発見・早期治療を心がけていれば、治療費も最小限に抑えることが可能となる。
Dees Dental Clinic
住所:
57/17-19 Wireless Rd., Lumpini, Pathumwan, Bangkok 10330
電話:0-2651-5612(日本語)、0-2689-6048(英語・タイ語)
診察時間:朝9時~夜7時(月~土)