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日本ガスラインのタンカー タイでガス流出、60人超被害

2009/12/ 9 (00:00)| 主要ニュース  企業

【タイ】タイ東部ラヨン県のマプタプット港で5日、日本ガスラインのタンカー「GLOBAL HIME」から可燃性ガスのブテン―1が流出した事故で、胸の痛みや吐き気を訴え病院で手当てを受けた住民が62人に上ることが明らかになった。

 ガスの流出は5日午後1時半ごろ始まり、午後4時にはタンカーから「流出が止められないため、ガスを放出する」という連絡があった。当局はタンカーを沖合に移動させるよう指示するとともに、近隣住民に避難勧告を出したとしているが、たまたま現場を視察していたアナン元首相は「対応が非常に遅い。住民の信頼をさらに損なった」と批判した。

 タイ東部では11月25、26日にかけ、ラヨンの隣県のチョンブリ県レムチャバン港で過硫酸ナトリウムがコンテナから流出する事故があり、港の作業員や周辺の住民数十人が吐き気や目の痛みを訴え、病院で治療を受けた。このうち胸の痛みなどを訴えた女性(54)が搬送先の病院で死亡した。女性は心臓の持病があり、死因は明らかになっていない。事故が起きたターミナルは丸紅、上組、シンガポールのPSAの合弁会社が運営している。

 12月6日夜には産業廃棄物処理会社ジェネラル・エンバイロメンタル・コンサベーション(GENCO)のマプタプット工業団地内の施設で火事があり、産廃が入ったタンクが燃えた。火は10分ほどで消し止められ、けが人はなかった。

 相次ぐ事故を受け、タイ工業省は8日、タイ工業団地公社(IEAT)など関係機関による対策会議を開き、原因究明と責任者の処罰、再発防止に取り組む方針を示した。

 タイ東部は臨海工業地帯として、化学、鉄鋼、自動車などの産業集積が進み、タイ経済の牽引車となっている。一方、公害に対する懸念も強く、タイ中央行政裁は今年3月、マプタプット地区で深刻な環境汚染が起きているとした原告住民の訴えを認め、マプタプット全域を公害防止地域に指定するようタイ環境委員会に命令した。これを受け同地区の住民と環境保護団体がタイ国営石油会社PTTなどの事業が憲法の要件を満たしていないとして行政裁に事業中止を求め、9月29日、76事業に対し凍結命令が出た。政府の控訴に対し、タイ最高行政裁判所は12月2日、工業団地の拡張や物流関連など環境への負荷が少ない11件の再開を認めたものの、化学、鉄鋼を中心とする65件については凍結を継続するよう命じた。65件にはPTT、タイ王室系素材大手サイアム・セメント(SCC)などの大型事業のほか、宇部興産、三井化学、JFEスチール、大和工業などの日系事業も含まれる。

 2007年発効のタイの現行憲法は地域の環境・健康に被害を与える恐れがある事業活動について、環境・健康アセスメントの実施や公聴会の開催などを義務付けており、凍結の解除にはこうした要件を満たす必要がある。ただ、凍結解除に向けた具体的な手順は不透明で、政府はアナン元首相を委員長とする特別委員会を設置し解決策を探っている。流出事故の続発はこうした中で起き、住民の理解を得るのはますます困難な情勢となった。

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