【タイ】タイ政府は12月28日、国内の施設に収容していたラオスの少数民族、モン族の男女約4300人を不法入国者として強制送還した。米国や欧州連合(EU)、国連などから強い批判を浴びたが強行した。
モン族はベトナム戦争中に米国に協力し、1975年にラオスに共産政権が発足したため、国内で弾圧を受けたとされる。多数がタイなどに逃げたが、一部はラオスで反政府武装闘争を続けている。
今回の送還についてタイ外務省は、モン族が経済的な理由や第3国への出国を目指しタイに密入国したと主張。「2008、2009年に3200人のモン族がタイからラオスに自主的に帰国したが、帰国後、ラオス政府に迫害されたという報告はない」として、対応に問題はないという考えを示した。
一方、アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は、強制送還が「難民保護を危険にさらすだけでなく、重大な悪しき国際的先例となりうる」と警告した。
東南アジアで経済が比較的発展しているタイには、軍事政権のミャンマー、共産政権のラオス、長く内戦が続いたカンボジアという経済的に立ち遅れた隣国3国から、100万人以上の不法入国者が流入している。ミャンマー人は漁船や精米所の労働者、ラオス人は家政婦などとして、タイに安価な労働力を供給しているが、タイ国内の立場は不安定で、不法入国を図って命を落とす事例も多い。
2007年には密入国者を運んでいたとみられるミャンマー船がタイ南部沖で沈没し、50人以上が死亡・行方不明となった。2008年にはトラックのコンテナに入ってタイへ密入国を図ったミャンマー人54人が窒息死した。2009年1月にはバングラデシュから船でタイに向かっていた少数民族、ロヒンギャ族数百人をタイ海軍がエンジンのない船に乗せ公海上に曳航し置き去りにした疑いが浮上し、国際社会から強い批判が上がった。このとき置き去りにされたロヒンギャ族は全員死亡したとみられている。
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