【タイ】国外逃亡中のタクシン元タイ首相が拠点としていたアラブ首長国連邦(UAE)のドバイを離れ、ヨーロッパに移動したもようだ。タイ外務省によると、タイ側の要請を受けたUAE政府がタクシン氏に出国を求めた。
タクシン氏は13日、反政府集会のためバンコクに集結した支持者数万人に国外から約10分間ビデオ電話をかけ、謝意を伝えるとともに、民主主義を取り戻すために力を合わせようと呼びかけた。また、長女と次女に会うため、ドバイを離れヨーロッパに入ったと話した。
〈タクシン・チナワット〉
1949年、タイ北部チェンマイ生まれの客家系華人。中国名は丘達新。警察士官学校を卒業後、米国に国費留学し、刑法学博士号を取得。帰国後、警察に勤務するかたわら、官公庁へのコンピュータ・リース、不動産開発などを手がけ、1987年に警察中佐で退職。その後、携帯電話サービス、通信衛星などを展開するタイ通信最大手シン・グループを育て上げた。
1995年に政界に転じ、1998年にタイラックタイ(タイ人はタイ人を愛する)党を創設。地方、貧困層へのバラマキ政策を掲げ2001年の総選挙で大勝し首相。2005年2月の総選挙も圧勝、首相に再選されたが、保守派との対立から、2006年9月の軍事クーデターで失脚し、公職追放処分を受けた。2007年末の総選挙でタクシン派が勝利したため、2008年2月に帰国。 8月に出国し、不在中の10月、首相在任中に妻が国有地を競売で購入したことで懲役2年の実刑判決を受けた。その後はタイに帰国せず、主にドバイに滞在している。
タクシン派与党は2008年12月に選挙違反で解党され、これに伴い、タクシン派政権からネーウィン元首相府相派と中小連立4党が野党・民主党に寝返り、民主党連立政権が誕生した。
タイの隣国のカンボジアは2009年10月、タクシン氏を政府の経済顧問に任命。これを受け、タクシン氏は11月にカンボジアを訪問した。タイ政府はタクシン氏の身柄引き渡しをカンボジア政府に要求したが、カンボジア側は「タクシン氏は政治犯」だとして拒否。こうした事態を受け、両国は相互に大使を召還、一等書記官を国外退去処分にするなど、亀裂を深めている。
タクシン氏はまた、カンボジア入り直前に英タイムズ紙のインタビューに応じ、タイの立憲君主制の問題に踏み込む発言も行い、タイ国内で強い反発を招いた。
チナワット家のタイ国内の資産約760億バーツはクーデター後に凍結され、タイ最高裁は今年2月26日、不正蓄財だとして、このうち464億バーツの国庫没収を命じた。
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