【タイ】タイ政府は23日の国家環境委員会(委員長、アピシット首相)会合で、健康・環境アセスメントが必要な11の事業をまとめた。タイでは昨年9月、東部工業地帯のラヨン県マプタプット地区で計画されていた化学、鉄鋼などの事業数十件が環境保護に関する憲法の要件を満たしていないとして裁判所命令で凍結され、大きな問題となっている。今回の環境委の決定で、凍結解除への道筋がつくと期待されている。
タイ天然資源・環境省によると、11の事業の概要は(1)48ヘクタール以上の海の埋め立て(2)鉱山(3)工業団地、工業用地開発(4)石油化学の上流・中流事業(5)日産5000トン以上の精錬、鍛造(6)病院、獣医院での放射性物質の製造、廃棄(7)危険物廃棄処理(8)3000メートル以上の滑走路を持つ空港(9)港湾(10)貯水量1億立方メートル以上のダム、貯水池(11)発電所――で、詳細、例外を調整、追加し、近く天然資源・環境省通達として発布する予定という。
2007年に軍事政権が導入したタイの現行憲法は、地域社会の環境、天然資源、健康に大きな影響を与える恐れがある事業に関し、▽健康・環境アセスメントの実施▽公聴会の開催▽環境、健康に関する民間機関の代表と環境、天然資源、健康に関する調査研究機関の代表が構成する独立機関からの意見聴取――を政府に義務付けている。しかし、タイの政局はタクシン元首相派と反タクシン派の抗争で混乱が続き、2008年末に誕生した反タクシン派の現政権も新憲法に対応する法整備を怠っていた。こうした状況の中、タイ中央行政裁判所は昨年3月、マプタプット地区で深刻な環境汚染が起きているとした原告住民の訴えを認め、全域を公害防止地域に指定するようタイ政府に命令。これを受け同地区の住民と環境保護団体がタイ国営石油会社PTTなどの事業が憲法の要件を満たしていないとして行政裁に建設中止を求め、昨年9月29日、76事業に対し凍結命令が出た。